なぜ“バントは消えない”のか──セ・リーグで起きている戦術分断

セ・リーグでは今、犠打を使うチームと使わないチームがはっきりと分かれています。
しかしその違いは、得点力に直結しているわけではありません。
この“戦術の分岐”は何を意味するのか──その構造を読み解きます。
ハマノンタン 2026.04.17
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2026年のセ・リーグでは、犠打の数に明確な“分断”が生まれています。

広島・阪神・中日が積極的にバントを使う一方、巨人・DeNA・ヤクルトはほとんど使っていません。

しかし興味深いのは、その違いが得点力と直結していない点です。

では、この差は何を意味しているのか。

そして、どの戦い方が“正解”なのか。

本記事では、セ・リーグに起きている戦術の分岐を整理し、その中でDeNAの選択が正しいのかを考察します。

① セ・リーグは“バントする側”と“しない側”に分かれている

まず現状を整理してみましょう。

4月14日時点の犠打数を見ると、広島が17、阪神が13、中日が10と上位を占めています。一方で、巨人は4、DeNAは3、ヤクルトは2と、下位3球団は極端に少ない数字になっています。

ここまで明確に差が出るのは偶然とは考えにくく、各球団が意図的に戦術を選択している結果と見るべきでしょう。

つまりセ・リーグでは今、バントを使うかどうかという点で、はっきりとした思想の分岐が生まれているのです。

② しかし犠打と得点は比例していない

一般的に犠打は「1点を取りにいく戦術」として語られます。

しかし実際の得点状況を見てみると、このイメージは必ずしも当てはまりません。阪神は得点上位に位置しており、ヤクルトも高い得点力を維持していますが、広島は得点が伸び悩んでいます。

つまり、犠打の多さがそのまま得点力の高さにつながっているわけではありません。バントは確かに走者を進める手段ではありますが、それだけで得点が保証されるわけではないという現実がここに表れています。

③ なぜ“バントするチーム”と“しないチーム”が分かれるのか

この違いは単なる好みではなく、チーム全体の設計思想の違いから生まれています。

広島や阪神、中日のようにバントを多用するチームは、長打に依存せずに1点を積み重ねていく野球を志向しています。

走者を確実に得点圏へ進め、投手力や守備力を背景に試合をコントロールしていく、いわばロースコアを前提とした戦い方です。

阪神、広島、中日は投手陣を強みとしているか、逆に打線に不安があって複数得点が狙いにくいことから、犠打が増えていると思われます。

一方で、巨人やDeNA、ヤクルトは、アウトを簡単に与えないことを優先し、長打や連打によって一気に得点する形を重視しています。

出塁の価値を最大化し、イニング全体で得点を組み立てていく。このアプローチはビッグイニングを前提とした攻撃と言えるでしょう。

ヤクルト、DeNA、巨人は打線の強みを活かしたいか、投手陣が不安なので複数得点を狙いたいため犠打が少ないと考えられます。

④ 現代野球では“バント否定”が主流だが…

近年はデータ分析の進展により、「犠打は得点期待値を下げる」という考え方が広く知られるようになりました。

それでもバントが完全には消えないのは、セ・リーグ特有の事情があるためです。

投手が打席に立つ構造や、接戦の多さ、昔からの慣習の残りなどが重なり、特定の場面では依然として有効な選択肢として残っています。

そのため、現在もまだ多用する球団は残っています。

⑤ 戦術の違いは今後どう影響するのか

現時点では、バントを使うチームは得点の安定感に欠け、バントを使わないチームは波がありながらも爆発力を持つという傾向が見えています。

そして2026年は、ここ数年続いていた投高打低から、得点が入りやすい環境へと変化しつつあります。このような打高環境では、1点を確実に取りにいく戦術よりも、複数得点を前提とした攻撃の価値が相対的に高まります。

言い換えれば、アウトを使って1点を取りにいく戦術の優先順位は下がる可能性があるということです。

ここまではリーグ全体の傾向を見てきました。

では、その中でDeNAの選択はどう評価すべきでしょうか。

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