育成3年目で打率.321、高見澤郁魅が勝ち取った支配下──打撃の成長と一軍定着への課題
2026年レギュラーシーズン。今季のDeNAでは多くの選手がそれぞれの立場でシーズンを戦い、成長や課題、来季への可能性を見せてくれました。
まだポストシーズンが残っていますが、今季の選手一人ひとりの成績や内容を振り返り、来季以降への期待も含めて考察していきます。
支配下登録を勝ち取った高見澤郁魅
今シーズンのDeNA二軍では、多くの若手選手が実戦経験を積み、チームとしてもファーム・リーグ中地区優勝を達成しました。
その中で、大きな成長を遂げた野手の一人が、高見澤郁魅です。
2023年育成ドラフト1位で敦賀気比高から入団した高見澤は、プロ3年目となる今季、二軍で76試合に出場しました。
76試合 249打席 打率.321
2本塁打 27打点
出塁率.383 長打率.438 OPS.821
過去2年間の二軍成績と比較すると、成長が明確になります。
- 2024年:45試合 打率.255 1本塁打 OPS.616
- 2025年:52試合 打率.258 2本塁打 OPS.650
- 2026年:76試合 打率.321 2本塁打 OPS.821
1年目から打率.255を記録しており、早い段階から一定の打撃能力を示していましたが、2年目も打率.258と目立った成績向上はありませんでした。
それが今季は打率を6分以上引き上げ、出塁率、長打率も大きく改善しています。
そして7月30日、球団は高見澤との支配下選手契約を発表しました。
背番号は193から66に変更され、翌31日には一軍初出場も果たしています。
育成選手として入団し、3年目で支配下登録を勝ち取ったことは、非常に大きな成果だったと思います。
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二塁打16本、打撃の総合力が大きく向上
今季の高見澤について、特に評価したいのが、打率だけでなく長打率も向上したことです。
今季記録した72安打のうち、二塁打は16本。前年の6本から大幅に増加しました。
本塁打は前年と同じ2本ですが、長打率は.346から.438へと向上しています。
高見澤は183cm、85kgという恵まれた体格を持つ左打者です。
本人も今季のインタビューで、昨年は徹底した身体づくりとバットの振り込みに取り組んだと振り返っています。
また、打席での考え方にも変化があったようです。
三振を恐れすぎず、カウントや狙う球種に応じて割り切って打席に入れるようになったことが、好成績につながったと話しています。
打者にとって、自分の狙いを明確にして打席に立つことは非常に重要です。
今季の高見澤は、スイングの強さだけでなく、自分の力を発揮するための考え方も身につけてきたように感じます。
単純に安打が増えただけでなく、打撃全体の生産性が向上したことは、大きな収穫だったと思います。
三振の多さと本塁打の少なさは課題
一方で、現在の高見澤が完成度の高い打者になったわけではありません。
今季は249打席で62三振を記録しており、三振率は24.9%でした。
前年も23.0%だったため、打率が大きく向上した一方、三振率は改善していません。
もちろん、三振が多いこと自体が必ずしも悪いわけではありません。
強い打球を打つために積極的なスイングを行えば、三振が増えることもあります。
ただ、一軍投手は二軍よりも球速や変化球の精度が高く、同じように高打率を残せるとは限りません。
今後は積極性を維持しながら、追い込まれてからの対応力や、ボール球を見極める能力を高めていく必要があるでしょう。
もう一つの課題が、本塁打の少なさです。
今季は打率.321、長打率.438を記録したものの、本塁打は2本にとどまりました。
もちろん、本塁打が少なくても高打率と二塁打を武器にする打者はいます。
ただ、高見澤の場合は守備位置との関係も考える必要があります。
今季は一塁手として53試合に出場しており、ファーストが主な守備位置でした。
一塁は一般的に高い打撃力が求められるポジションです。
そのため、一軍で一塁手として出場機会を増やすのであれば、現在よりも長打力を高めることが重要になってくるでしょう。
支配下登録はゴールではなく、次の競争の始まり
今季の高見澤は、育成選手として非常に大きな成果を残しました。
ただ、一軍での出場は1試合、1打席のみでした。
二軍では打撃力を示し、支配下登録を勝ち取るところまで成長しましたが、一軍で継続して出場機会を得られる段階には、まだ到達していません。
現在のDeNAには牧秀悟、宮﨑敏郎、筒香嘉智など、実績のある内野手が多く在籍しています。
さらに若手でも、小田康一郎、加藤響、宮下朝陽、成瀬脩人、田内真翔など、今後の出場機会を争う選手がいます。
こうした競争の中で、一軍の戦力として定着することは簡単ではないでしょう。
ただ、高見澤はまだ20歳です。
高卒3年目で二軍打率.321を記録したことを考えれば、今後の成長には十分期待できます。
次は二軍で結果を残す選手から、一軍でも必要とされる選手へと成長していく段階です。
ここからは、高見澤の来季以降の展望について考察をまとめていきます。