なぜDeNAの1位に前田侑大を推したのか──“即戦力1位”ではない理由と、筆者が考えた理想のドラフト

ドラフト会議はいよいよ目前。DeNAは1位で誰を狙うべきなのか。筆者が前田侑大を1位、星野世那を2位、中津大和を3位に推した理由と、下位指名まで含めた理想のドラフト戦略を詳しく考えます。
ハマノンタン 2026.10.20
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先日、THE DIGEST/SLUGGERのドラフト企画で、DeNAが「指名するべき選手」について記事を書きました。

そこで筆者が挙げた理想の指名は、以下の3人です。

  • 1位 前田侑大(高岡第一高/投手)

  • 2位 星野世那(大阪商業大/投手)

  • 3位 中津大和(日本生命/外野手)

THE DIGESTの記事は1000~1200字という条件だったため、それぞれをなぜこの順位で推したのか、十分に説明し切れなかった部分があります。

特に、

「なぜ1位で大学生や社会人の即戦力投手ではないのか」

「なぜ1、2位と左腕を続けて指名するのか」

「藤澤涼介や榊原七斗など評価の高い外野手がいる中で、なぜ中津大和なのか」

というところは、もう少し詳しく説明しておきたいと思っています。

今回は3人それぞれの評価だけでなく、4位以下まで含めて、筆者が考える「理想のDeNAドラフト」の意図を掘り下げていきます。

なぜ1位で「即戦力投手」ではないのか

今回の指名案で最も重要なのは、投手を大きな補強ポイントと考えながら、1位では大学生や社会人の即戦力投手を選ばなかったことです。

もちろん、来季すぐに投げられる投手が必要ないという意味ではありません。

今オフは投手の入れ替えも多く、ドラフトでも1位以外の順位で先発候補を少なくとも1人は加える可能性が高いと考えています。

ただ、来季の先発ローテーションだけを見れば、ドラフト1位を「1年目から先発ローテーションに入る投手」に使わなければならない状況ではないと見ています。

現時点でも東克樹、石田裕太郎、平良拳太郎がいて、さらに尾形崇斗、片山皓心、深沢鳳介、島田舜也、篠木健太郎、竹田祐らも先発候補です。

当然、この全員が来季ローテーションに定着するわけではありません。

むしろ2027年は、こうした若い投手たちの中から誰が本当に一軍の先発として残っていくのかを見極めるシーズンにしてもいいと考えています。

そして、もう一つ大きいのが外国人補強です。

筆者は今オフ、DeNAが外国人先発を少なくとも2人は獲得すると予想しています。

今季は外国人先発の離脱もあり、想定していたローテーションを組めない時期がありました。それを踏まえれば、来季は複数の外国人先発を確保し、ある程度余裕を持った状態でシーズンに入るのではないでしょうか。

仮に外国人先発を2人補強すれば、先ほど挙げた日本人投手と合わせてローテーション候補は10人を超えます。

さらにドラフトでも先発候補を1人加えると考えれば、人数としては十分でしょう。

重要なのは「候補が多いから安心」ということではなく、これだけの人数で競争させられることです。

若手だからと無理にローテーションへ固定する必要はない。結果を残した投手が一軍で投げ、結果が出なければ別の投手にチャンスを与える。

そうした競争の中から、本当に一軍のローテーションを任せられる投手を見極めたいところです。

ならばドラフト1位にまで「2027年のローテーションを埋める」という役割を求める必要はありません。

1位という最も価値の高い指名枠だからこそ、来季5勝する投手ではなく、3年後、5年後にチームのエースになれる可能性を持った投手に使いたい。

その考えから1位に選んだのが、前田侑大です。

織田翔希にも匹敵するストレート

前田最大の魅力は、やはりストレートです。

173センチと投手としては決して大柄ではありませんが、最速156キロ。

高校生左腕としてこれだけの球速を出せること自体が大きな魅力ですが、筆者が評価しているのは最高球速だけではありません。

ストレートそのものの球威が非常に強い投手です。

今年の高校生投手では、MLB挑戦を選択した織田翔希がトップクラスの評価を受けていました。

しかしストレートの球威という一点に絞れば、前田も織田に匹敵するものを持っていると筆者は見ています。

夏の富山大会ではノーヒットノーランを達成し、9回で20奪三振。高校生相手とはいえ、それだけ空振りを奪えるストレートを持っていることは非常に魅力的です。

もちろん課題もあります。

体格面や制球、変化球などを考えれば、プロ入り直後から完成された先発投手としてローテーションを任せるタイプではないでしょう。

だからこそ、今のDeNAに合っているとも考えています。

すぐに一軍で投げてもらわなければ困る状況なら、より完成度の高い大学生や社会人を優先するべきかもしれません。

しかし前述したように、来季は既存の若手先発を競争させる余裕があります。

前田にはファームで身体づくりを進めながら、変化球や制球力を磨く時間を与えられる。

数年後に現在の先発陣の構成が変わってきた頃、一軍でローテーションの中心に入ってくる。

そんな成長曲線を描けるのであれば、1位という順位を使う価値は十分にあると思っています。

DeNAの評価軸とも合いそうな「人物面」

そして前田を1位に推した理由は、能力だけではありません。

個人的に非常に興味深かったのが人物面です。

高校最後の夏が終われば、自分自身の進路やトレーニングを優先しても不思議ではありません。

しかし前田は引退後も新チームの練習をサポートし、練習試合では二塁塁審を務めるなど、後輩たちを支えていました。

こうしたエピソードは、一見するとドラフト順位とは関係ないように思えるかもしれません。

しかしDeNAは近年、スカウティングで選手の人間性をかなり重視している球団です。

野球の能力だけを見るのではなく、普段の練習態度やチームへの関わり方、野球に対する姿勢まで見た上で指名しています。

もちろん「後輩のために塁審をしたから1位」という話ではありません。

あくまで1位級の能力を持っていることが大前提です。

そのうえで、最後の大会が終わった後も後輩の練習を支える行動ができる点は、DeNAが求める選手像とも合うのではないでしょうか。

最速156キロの左腕。

将来のエースになり得る大きなポテンシャル。

そして人物面でも興味深いエピソードがある。

それらを総合して、筆者は前田を1位に挙げました。

ここまでは、なぜ1位で即戦力投手ではなく前田侑大を推したのか、その理由を中心に書いてきました。

ただ、今回の指名案で重要なのは1位だけではありません。

1位で高校生左腕の前田を指名しながら、なぜ2位でも左腕の星野世那なのか。

そして、評価の高い外野手が複数いる中で、なぜ3位に中津大和を選んだのか。

さらに4位以下では、どのポジションをどう補っていくべきなのか。

ここからは、前田―星野―中津という上位3人の組み合わせに込めた意図と、下位指名まで含めた「理想のドラフト全体像」を詳しく考えていきます。

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