DeNA二軍優勝の価値は「貯金34」だけではない──村田修一監督のもとで形になった“一軍へ送る”育成システム

貯金34で中地区優勝を決めたDeNA二軍。しかし、今季の最大の成果は勝敗だけではありません。尾形崇斗、片山皓心、勝又温史、井上朋也ら多くの選手を一軍へ送り出し、結果まで残させたファーム運用。その強さと育成を両立した仕組みを振り返ります。
ハマノンタン 2026.09.23
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横浜DeNAベイスターズの二軍が、2026年ファーム・リーグ中地区の優勝を決めました。

9月21日時点で貯金は「34」。

シーズンを通して投打ともに高い戦力を維持し、圧倒的な強さを見せてきました。

もちろん、二軍とはいえリーグ優勝を成し遂げたこと自体が大きな成果です。

しかし、今季のDeNAファームを振り返るうえで、本当に注目したいのは勝敗だけではありません。

村田修一二軍監督のもとで多くの選手が実戦経験を積み、状態を上げ、そこから一軍へ送り出されました。

しかも、一軍へ昇格しただけではありません。

実際に一軍でも戦力となった選手が何人も生まれています。

つまり今季のDeNAは、

「二軍で勝つ」

ことと、

「一軍で使える選手を送り出す」

ことを高いレベルで両立しました。

貯金34という数字以上に、この「一軍への戦力供給」が機能したことこそ、今季のDeNAファーム最大の成果だったのではないでしょうか。

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選手数が多くないDeNAが圧倒的な成績を残した意味

ファームの運営方法は球団によって大きく異なります。

巨人やソフトバンクのように三軍、四軍まで整備し、多くの選手を抱えながら育成を進めている球団もあります。

一方、DeNAはそうした球団と比較すると選手数が多いわけではありません。

これはファームの勝敗を考えるうえでも決して小さな違いではないでしょう。

一軍への昇格者が出れば、その分だけ二軍の主力が抜けます。

故障者が増えれば、限られた人数で試合を回さなければならない状況も出てきます。

一軍へ積極的に選手を送り出しながら二軍でも勝ち続けることは、簡単ではありません。

それでも今季のDeNA二軍は貯金34まで積み上げ、中地区を制しました。

単純に選手層が厚かったというだけではなく、現在いる選手をどのように起用し、育成し、調整させるのかというファーム全体の運用が機能していたことも大きかったように思います。

尾形崇斗を「一軍の先発」に仕上げたファーム

その象徴的な存在の一人が、尾形崇斗です。

シーズン途中にトレードでDeNAへ加入した尾形は、すぐに一軍で起用されたわけではありません。

まずはファームで先発投手として調整。

そこで先発として必要な準備を進め、一軍へ昇格すると、そのままローテーションの一角へ定着しました。

トレードで選手を獲得することと、その選手を戦力にすることは別の話です。

獲得した選手に対して、

「どの役割なら一軍で力を発揮できるのか」

を整理し、そのための準備をファームで行う。

尾形を先発投手として一軍へ送り出せたことは、今季のDeNAのファーム運用を象徴する成功例の一つだったと言えるでしょう。

育成枠、手術明け、再調整組まで一軍戦力へ

尾形だけではありません。

今季はさまざまな立場の投手がファームを経由して一軍戦力となりました。

浜地真澄、岩田将貴、馬場皐輔は、育成枠から支配下、そして一軍戦力へとつながりました。

単に支配下登録されたことがゴールではありません。

一軍でもそれぞれ役割を与えられ、シーズンを戦ううえで必要な戦力となっています。浜地などはリード時の7回や8回を任されるセットアッパーになっています。

そして、TJ手術から復帰した深沢鳳介。

長期離脱から復帰する投手の場合、単純に投げられるようになれば終わりではありません。

実戦でイニングを重ね、球数を増やし、登板間隔を含めて一軍で投げられる状態まで戻していく必要があります。

深沢が再び一軍の先発として投げられるところまで戻ってきたことも、ファームの大きな成果でしょう。

さらに印象的なのが、ルーキーの片山皓心です。

片山は4月に一軍で登板したものの、苦しい内容となりました。

それでも、そこで評価を決めつけられることはありませんでした。

一度ファームへ戻って再調整し、再び一軍へ。

すると7月以降は防御率1点台を維持する安定した先発投手へと成長しました。

一軍で結果が出なかった選手を二軍へ落として終わりではなく、課題を持ってファームへ戻り、修正し、再び一軍へ送り出す。

そして今度は一軍で結果を残す。

この循環が成立していることは非常に重要です。

二軍とは、若手選手を最初から育てるだけの場所ではありません。

一軍で見つかった課題を修正し、再び戦力として送り返す場所でもあります。

今季の片山は、その役割がうまく機能した代表例と言えるでしょう。

この他にも、ファームで調整後に一軍復帰して結果を残せるようになった投手が数多くいます。

ここまで投手陣を中心に見てきましたが、今季のDeNAファームの成果はそれだけではありません。

野手でも、ファームで力を伸ばした選手や移籍後に役割を広げた選手が次々と一軍戦力になりました。

ここからは勝又温史、宮下朝陽、古市尊、井上朋也らの成長を振り返りながら、今季のDeNAが「二軍で勝つ」と「一軍へ選手を送り出す」をどう両立したのかを考えていきます。

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