【DeNA】春季キャンプで見えた再設計──3つの起用変更が示す狙い
それは場当たり的な配置ではなく、数年先を見据えたチーム設計の一環でした。
キャンプで浮かび上がった3つの方針転換から、その狙いを読み解きます。
春季キャンプが始まりましたが、横浜DeNAベイスターズでは、今季の起用に関して昨年までとは明らかに異なる動きが見え始めています。
それは単なるポジション争いや、キャンプ序盤のテスト的な配置ではありません。
むしろ「なぜ今この配置なのか」を考えると、数年先を見据えたチーム設計の意図が透けて見えてきます。
今回は、春季キャンプ序盤で特に注目されている以下の3点を軸に、DeNAが起用を変えた理由を整理していきます。
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入江大生の先発転向
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佐野恵太のファースト起用
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ショートを林と石上に絞る
入江大生の先発転向は「緊急対応」ではない
今季のDeNAで最も象徴的な変化が、入江大生の先発転向です。
入江に関しては、昨年11月下旬の時点で球団側から先発転向の打診があり、本人もこれを受諾。
オフシーズンは最初から先発を想定したトレーニングを積んできました。
この経緯を踏まえると、「先発が足りないから試しに」「リリーフが余っているから」という短絡的な理由ではないことが分かります。
むしろ重要なのは、入江の適性とキャリアプラン、そして今後の先発構想です。
入江はもともと多彩な球種を持ち、一定の再現性もあって入団当初は先発として起用されていました。そのため先発として価値を最大化できる可能性があります。
さらにチーム全体を見ると、将来を見据えた先発の軸作りが必要なタイミングでもあります。
石田裕太郎、竹田祐に、入江大生を加えた「次世代先発の3本柱」を構築する。
3人ともまだ20代中盤で、これからDeNAの主力として活躍が期待できる投手たちです。
エースの東克樹が30歳で、いつまでも東1人に頼ってばかりもいられないでしょう。
また、昨年のように外国人先発を3人も起用するような配分だと他のポジションが弱体化してしまいます。
やはり日本人先発がローテの核となり、外国人先発はあくまでプラスアルファとして考えるのが望ましいです。
今回の先発転向は、その布石と考えるのが自然でしょう。
佐野恵太のファースト起用が意味するもの
春季キャンプ初日から話題となったのが、佐野恵太のファースト特守です。
本人の談では、ファーストの特守を受けるのは「1年目か2年目以来」というほど久しぶりとのこと。
それだけに、この起用は一時的なものではなく、今季の方針として位置付けられていると見てよいでしょう。
この起用変更の狙いは、佐野の打撃力を生かしつつ、チーム全体の攻守バランスを最適化する点にあります。
佐野はDeNA打線において、安定して計算できる打撃力を持つ存在です。
一方で外野守備では、やや厳しい評価をするファンも多く、佐野をどこで使用するかは注目になっていました。
今回、ファーストを守っていたオースティンやフォードが退団して、代わりに外野手のヒュンメルを獲得してきたことで、佐野をファーストで起用しやすい環境に変わったことが大きいでしょう。
佐野をファーストに回すことで
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佐野の打撃力を活かしやすくなる
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レフトの守備力強化が見込める
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シーズン通して安定した体制を構築
という複数のメリットが生まれます。
個人の負担軽減というよりも、チーム全体の攻守のバランスを見直す動きと捉えるべき変更です。
ショートは林琢真と石上泰輝に絞られた
内野、とりわけショートの起用にも明確な整理が見られます。
昨年のDeNAでは、ショートを京田陽太、森敬斗、林琢真、石上泰輝の4人で併用してきました。
しかし今季の春季キャンプを見ると、この構図が大きく変わっています。
京田はキャンプでセカンドを中心に守備練習を行っています。昨年はシーズン中に一度も守らなかったポジションですが、これは内野全体のバックアップを任せられるように、という役割を明確にした配置と考えられます。
一方で森敬斗は、2軍キャンプでセンターの特守を受けています。昨年オフに球団から「外野起用を増やす方針」が伝えられていたことを踏まえると、この動きも一貫しています。
こうした配置転換の結果、ずっとショートで守備練習してるのが林琢真と石上泰輝の2人です。
昨年後半の実績、守備の安定感、起用の再現性を考えれば、現時点のショート候補ではこの2人の評価が最も高いと考えられ、今季は2人を併用していく可能性が高いでしょう。