育成2年目で58イニング、金渕光希が示した成長──先発として見えてきた可能性と支配下への道筋
2026年レギュラーシーズン。今季のDeNAでは多くの選手がそれぞれの立場でシーズンを戦い、成長や課題、来季への可能性を見せてくれました。
まだポストシーズンが残っていますが、今季の選手一人ひとりの成績や内容を振り返り、来季以降への期待も含めて考察していきます。
高卒2年目で二軍先発ローテ入りを果たした金渕光希
今シーズンのDeNA二軍では多くの若手選手が実戦経験を積み、チームとしてもファーム・リーグ中地区優勝を達成しました。
その中で、個人的に成長を高く評価している投手の一人が、育成2年目の金渕光希です。
2024年育成ドラフト3位で八戸工大一高から入団した金渕は、今季二軍で18試合に登板し、58イニングを投げました。
18試合(先発9試合) 58回 6勝4敗 防御率3.57 37奪三振 22四球
昨年は5試合、わずか6イニングの登板にとどまっていましたが、今季は投球回を大幅に増やし、二軍先発ローテーションの一角を担うまでになりました。
近年のDeNAでは、高卒2年目の育成投手が二軍でここまで多くのイニングを投げるケースは珍しく、金渕が58イニングを投げたこと自体に大きな価値があると思います。
二軍は若手選手に経験を積ませる場である一方、支配下選手や一軍復帰を目指す選手も多く登板する場所です。
そのため、育成選手だからといって公式戦で十分な登板機会が与えられるとは限りません。
特に高卒間もない育成投手は、身体づくりや基礎的な技術の習得を優先することも多く、二軍公式戦で多くのイニングを任されるとは限らないのです。
その中で金渕は、先発として継続的に登板する機会を得るまでになりました。
これはチームの投手事情や育成方針の影響もあるでしょうが、金渕自身が実戦で投げられるだけの技術、体力、投球能力を身につけてきたことも大きいのではないでしょうか。
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9回完封も経験、先発投手としての土台ができてきた
今季の金渕を象徴する登板が、7月21日の阪神戦です。
この試合では9回を102球、4安打無失点に抑え、プロ入り後初となる完封勝利を記録しました。
育成2年目の投手が二軍公式戦で9イニングを投げ切ったことは、非常に大きな経験になったと思います。
先発投手に求められるのは、単純に良いボールを投げることだけではありません。
複数の球種を使い分け、打者との駆け引きを行い、球数や体力を考えながら長いイニングを投げる必要があります。
特に先発では、同じ打者と複数回対戦するため、その日の調子や相手打者の反応を見ながら投球を組み立てていくことが重要になります。
金渕は今季、こうした先発投手としての経験を積み重ねることができました。
その中で、単に目の前の打者を抑えるだけでなく、自分自身で投球を組み立て、試合をつくる能力が少しずつ身についてきたように感じます。
今季の成績は防御率3.57と、二軍で圧倒的な数字を残したわけではありません。
しかし、高卒2年目の育成投手が先発として58イニングを投げ、6勝を挙げ、完封勝利まで経験したことを考えれば、十分に評価できるシーズンだったと思います。
ストレートも変化球も、まだまだ発展途上
一方で、現在の金渕は投手として完成されたわけではありません。
むしろ、個々のボールの質については、まだまだ改善すべき部分が多く残されていると感じています。
まずストレートです。
金渕は投球の多くをストレートが占めていますが、球速は140km台前半が中心で、平均球速は142km/h前後。
左投手であることを考えても、現時点では球威によって打者を圧倒できるほどのストレートではありません。
もちろん、球速が速ければ良いというわけではありませんし、ストレートの球威は回転や球質、コースなどにも左右されます。
それでも、今後一軍で先発として活躍するためには、ストレートの威力をさらに高めることが大切になってくるでしょう。
また、変化球についても課題が残されています。
現状でも複数の変化球を組み合わせて投球することはできていますが、狙ったところに投げ込む精度や、打者のバットを空振りさせるキレについては、まだ向上させる余地があります。
今季は58イニングで37奪三振、奪三振率は5.74でした。
先発として試合をつくることはできるようになってきましたが、打者から三振を奪う能力については、まだ物足りない数字と言えるでしょう。
さらに与四球は22個あり、制球力についても改善の余地があります。
こうした数字を見ても、現在の金渕は完成度の高い投手というより、先発投手としての基礎を身につけながら、個々の能力を伸ばしている途中段階にあると考えています。
課題が明確になったことも大きな収穫
ただ、こうした課題が残されていることを、それほど悲観的に捉える必要はないと思います。
なぜなら、今季の金渕は先発投手として投球を組み立て、試合をつくるところまで成長できたからです。
個々のボールの質が十分ではなくても、複数の球種を組み合わせながら打者と勝負し、長いイニングを投げることができるようになりました。
つまり、先発投手として必要な土台ができつつあるわけです。
その土台の上で、今後ストレートの球威や変化球の精度、キレを向上させることができれば、投球内容もさらに改善していくと考えられます。
ストレートの威力が上がれば、打者はこれまで以上にストレートを意識するようになり、変化球も生きてきます。
変化球の精度やキレが向上すれば、狙って打者を打ち取ることや、追い込んでから三振を奪うことも増えてくるでしょう。
今季の金渕について特に評価したいのは、先発としての投球の組み立てができるようになったことで、次にどの能力を伸ばせばよいのか、その道筋が見えてきたことです。
まだ高卒2年目で、身体的にも技術的にも成長が期待できる年齢です。
昨年は6イニングしか投げられなかった金渕が、今年は58イニングまで投球回を増やしました。
今季は実戦で投げるための土台を築いた1年だったとすれば、次はその土台の上で投球の質をどこまで高められるかが重要になります。
そして、その成長次第では、来季の支配下登録も十分に目指せるのではないでしょうか。
ここからは金渕の来季以降の展望について考察をまとめていきます。