なぜDeNAは育成外国人を獲得しなくなったのか──マルセリーノが背負う「最後の成功例」
2019年頃からDeNAは、ドミニカ共和国やベネズエラなどから若い外国人選手を育成契約で積極的に獲得していました。
完成された助っ人ではなく、将来性のある素材を育てて一軍戦力へ育成する――。
当時としては非常に興味深い取り組みでしたが、近年はその方針も見られなくなっています。
今回は、DeNAが育成外国人路線を進めた背景と、現在一軍でプレーするハンセル・マルセリーノが持つ意味について考えてみます。
素材に賭けた育成外国人路線
DeNAは2019年頃から、将来性のある外国人選手を育成契約で獲得する取り組みを積極的に行っていました。
レミー・コルデロ、ジョフレック・ディアス、スターリン・コルデロ、ハンセル・マルセリーノ、フランディー・デラロサ、ウィルニー・モロン、アレクサンダー・マルティネスなど、多くの若手選手がDeNAに所属していました。
彼らは知名度の高い選手ではありませんでしたが、高い身体能力や球威を持つ一方で、技術的には粗削りという共通点がありました。
つまり、「今すぐ活躍する助っ人」ではなく、「数年後の戦力」を目指して育成するという考え方だったのです。
もしこの中から一人でも主力級の選手が育てば、育成外国人という取り組みは大きな成功例になっていたでしょう。
成功例を生み出す難しさ
しかし現実は厳しいものでした。
多くの選手が支配下登録まで届かなかったり、結果を残せないまま退団したりと、大きな成功例は生まれませんでした。
素材が優れていても、異国での生活や言語、文化への適応、技術面の成長など、乗り越えなければならない壁は数多くあります。
国内の若手選手を育成するだけでも難しい中、それに加えて海外出身選手を育てることは、さらに難易度が高い取り組みだったと言えるでしょう。
マルセリーノが背負うもの
そんな中で、現在もチームに残り、一軍のマウンドに立っているのがハンセル・マルセリーノです。
支配下登録を勝ち取り、一軍で登板するまで成長したこと自体は、この育成路線の成果と言ってよいでしょう。
150km/hを超える力強いストレートや三振を奪える能力は魅力ですが、一方で制球面にはまだ課題があり、好投したかと思えば大量失点する試合もあります。
ポテンシャルは感じさせる一方で、まだ粗さが残る投手という印象です。
だからこそ、「育成外国人の成功例」と胸を張って言える段階までは、もう一歩成長が必要なのかもしれません。
マルセリーノには、その挑戦を実らせてほしい
私は、だからこそマルセリーノには大きな期待をしています。
もちろん、一人の選手としてチームの勝利に貢献してほしいという思いはあります。
それと同時に、DeNAが数年間にわたって挑戦した育成外国人路線を、「意味のある取り組みだった」と証明する存在になってほしいとも感じています。
もしマルセリーノが今後、制球面の課題を克服し、勝ちパターンを担うような存在まで成長できれば、「育成外国人からここまで育て上げた」という球団の大きな成功例になります。
一人の活躍が、過去の挑戦そのものを価値あるものへ変えることもあります。
DeNAが積み重ねてきた育成の歴史を無駄にしないためにも、そして今後また同じような挑戦を後押しするためにも、マルセリーノにはその可能性を現実のものにしてほしいと思います。
ここまでは、DeNAの育成外国人路線とマルセリーノの現在地について見てきました。
以降のパートでは、なぜDeNAが当時これほど積極的に育成外国人を獲得したのか、そして現在その方針が見られなくなった理由について、3軍構想や育成環境の変化を踏まえて考察します。
また、現在の育成戦略との違いについても整理し、球団の編成方針がどのように進化してきたのかを掘り下げます。