片山皓心はなぜ崩れないのか──7月以降防御率1.04、CSでも期待したい“打たれない左腕”
9月18日のヤクルト戦。
先発した片山皓心は、今季最高と言っていい投球を見せました。
7回114球を投げて被安打2、4奪三振、無失点。
しかも6回までヤクルト打線をノーヒットに封じ、7回に初安打を許してからも得点は与えませんでした。
相川亮二監督も試合後に片山の投球を高く評価。片山自身は「感覚は良かった」としながらも、走者を出してからの投球や球数管理を課題として挙げています。
そして、この好投は決して一試合だけのものではありません。
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7月以降、6試合すべて「自責点1以下」
片山の一軍デビューは4月25日の巨人戦でした。
しかし、この試合では2回2/3を投げて9安打7自責点。
ほろ苦いプロ初登板となりました。
ところが、再び一軍で先発するようになった7月以降はまるで別人です。
7月19日 ヤクルト戦 5回1失点
8月9日 広島戦 6回無失点
8月16日 ヤクルト戦 5回1/3 自責点1
8月27日 広島戦 6回1失点
9月11日 広島戦 5回1/3 1失点
9月18日 ヤクルト戦 7回無失点
実に6試合連続で自責点1以下。
この期間を合計すると、
34回2/3 被安打18 34奪三振 18四球 自責点4となり、防御率は1.04です。
シーズン全体でも37回1/3を投げて防御率2.65、被打率.193。
デビュー戦の7自責点が含まれてなお、この数字まで改善してきました。
では、なぜ片山はここまで安定しているのでしょうか。
最大の特徴は「球速」ではなく球種の多さ
片山は、150キロを連発して力で押し込むタイプではありません。
今季のストレートは平均141.2キロ、最速146キロ。
その代わり、投球の中身を見ると非常に多彩です。(9/18登板時点)
ストレートが32.1%。
そこにチェンジアップ19.4%、ツーシーム19.3%、カットボール14.0%、スライダー8.2%、カーブ7.0%。
つまり、ストレートだけでなく6種類の球種をかなりバランス良く使っていることが分かります。
打者からすれば、140キロ前後の直球だけを待っていればいい投手ではありません。
横方向に動くボールもあれば、速度を落とすボールもある。
同じ腕の振りから違う軌道、違う速度のボールがやってくる。
片山の「打たれにくさ」は、この選択肢の多さから生まれているのでしょう。
最大の武器はチェンジアップ
その中でも特に目立つのがチェンジアップです。
今季のチェンジアップは投球割合19.4%ですが、右打者に対しては30.1%まで上昇します。
さらに空振り率20.8%。
今季36奪三振のうち16個、実に44%ほどをチェンジアップで奪っています。
一方、左打者にはスライダーの割合が13.4%まで増えています。
つまり片山は、
右打者にはチェンジアップ。
左打者にはスライダーやカットボール。
そこにストレート、ツーシーム、カーブを組み合わせる。
相手打者によって使うボールを変えられるだけの引き出しがあります。
プロ入り前から直球とチェンジアップの組み合わせを評価されていた投手ですが、その武器がプロでもそのまま通用していると言えそうです。
四球は多い。それでも崩れない
ただし、片山の投球は決して完成されたものではありません。
7月以降の34回2/3で18四球。
9月11日の広島戦でも4四球、9月18日のヤクルト戦でも3四球1死球を出しています。
ここは今後の課題でしょう。
それでも、その期間に許した安打はわずか18本で、本塁打も1本だけです。
つまり走者を出すことはあっても、そこから簡単に連打や長打を許していない。
これこそが今の片山の強さではないでしょうか。
社会人時代にも本人は、自分について三振を大量に奪うタイプではなく、フライやゴロでアウトを積み重ねる投手だと説明していました。
実際にはプロでは奪三振率8.68と三振も十分取れています。
打たせて取ることもでき、必要な場面ではチェンジアップなどで空振りも奪える。
この幅が、簡単には崩れない投球につながっています。
では、この安定感をCSではどう生かせるのでしょうか。
短期決戦では、必ずしも7回、8回まで投げ切ることだけが先発投手の価値ではありません。むしろ重要になるのは、序盤で試合を壊さず、勝負できる展開のままリリーフ陣へつなぐことです。
7月以降、一度も自責点2以上を許していない片山は、その役割にかなり適した投手にも見えます。
ここからは、今季の登板内容を踏まえながら、CSで片山にどんな投球、そしてどんな起用を期待できるのかを考えていきます。