プロでも倒れる猛暑──伊勢大夢の熱中症から考える、夏の高校野球はこのままでいいのか
7/21に甲子園ナイターで行われた、阪神対DeNA戦で、リリーフ登板した伊勢大夢投手が体調不良を訴え、緊急降板しました。
試合後、相川監督は熱中症によるものだと説明しています。
伊勢はプロ5年目でここまで通算300試合以上に登板してる、いわば百戦錬磨の投手です。
このような長年プロの第一線で戦い続けてきた選手でさえ、万全のコンディション管理の中で熱中症になってしまう。
この出来事は、一人の選手のアクシデントとして片付けるのではなく、日本の夏に行われるスポーツ全体について考え直すきっかけになるのではないでしょうか。
特に、この時期に思い浮かぶのが夏の高校野球です。
伝統ある甲子園大会をこれからも続けていくために、私たちは何を変えるべきなのでしょうか。
プロでも避けられない暑さになってきた
近年の気候や気温の変化を考えると、
「プロだから大丈夫。」
と言えるような時代ではなくなってきています。
プロ野球選手は日頃から栄養管理や体調管理を徹底し、トレーナーやスタッフによるサポートも受けています。
試合中も水分補給や休憩のタイミングが細かく管理され、身体への負担を少しでも減らせる環境が整っています。
それでも今回、伊勢投手は熱中症とみられる症状で途中降板しました。
これは自己管理が足りなかったという話ではありません。
それだけ現在の日本の夏が、これまでとは比較にならないほど危険な環境になっているということです。
近年は夜でも30℃近い日が珍しくなく、湿度も非常に高い状態が続いています。
「昔も暑かった」という言葉だけでは説明できない暑さが、今の日本にはあります。
高校生はさらに大きなリスクを抱えている
この環境で最も心配になるのが、高校球児たちです。
高校生はまだ身体が成長途中です。
さらに大会期間中は連戦になることもあり、十分に疲労が抜けないまま試合に臨むケースもあります。
投手はもちろんですが、野手も炎天下で長時間守備につき、攻撃では全力疾走を繰り返します。
加えて、応援する吹奏楽部や応援団、生徒、保護者、観客、審判も暑さの中で長時間過ごしています。
つまり、暑さのリスクを抱えているのは選手だけではありません。
大会全体が猛暑という大きな課題と向き合わなければならない時代になっているのです。
「伝統」と「安全」は対立するものではない
夏の高校野球については、近年さまざまな議論が行われています。
「7イニング制を導入すべきではないか。」
「ドーム球場で開催すべきではないか。」
「ナイター中心にすべきではないか。」
一方で、「高校野球は甲子園だからこそ価値がある」という意見にも、大きな理解があります。
甲子園という舞台は、多くの高校球児にとって特別な場所です。
だからこそ私は、「伝統か安全か」という二者択一で考えるべきではないと思っています。
大切なのは、甲子園という伝統を守りながら、安全性をどう高めていくかです。
現実的に考えられる対策
では、どのような対策が考えられるのでしょうか。
まず現実的なのは、試合時間の見直しです。
朝や夕方を中心とした日程にすることで、最も危険な時間帯を避けられます。
また、大会期間を少し延ばして1日の試合数を減らすことも有効でしょう。
選手だけでなく、審判や応援団、観客の負担も軽減できます。
7イニング制には球場の滞在時間を減らせるので体力的負担の軽減効果が期待でき、導入もしやすいです。
ドーム球場開催は安全面では最も優れた方法です。
しかしいずれも「甲子園でプレーする」という高校野球最大の価値とのバランスも考えなければなりません。
ここまで、夏の高校野球が猛暑という新たな課題に直面していることを見てきました。
では、実際に制度を変えるとしたら、どの方法が最も現実的なのでしょうか。
私なりに代表的な4つの案を整理してみます。