補強か育成かは二者択一ではない──DeNA編成を単純化してはいけない理由

「補強偏重」と批判されるDeNA。しかし編成は一年では評価できません。数年単位で見えてくる球団の狙いを考察します。
ハマノンタン 2026.07.17
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「DeNAは外国人補強ばかりで、育成がおろそかになっている。」

そんな意見を見かけることがあります。

確かに近年のDeNAは、外国人選手の獲得やトレードなど、積極的に補強を行ってきました。

しかし、その事実だけを見て「補強ばかりで育成ができていない」と結論付けるのは少し早いように感じます。

編成を評価する上で重要なのは、「今年何をしたか」だけではなく、「数年前からどのような戦略を積み重ねてきたか」という視点です。

今回は、現在のDeNAの編成を中長期的な視点から考えてみます。

補強と育成は本来対立するものではない

まず考えたいのは、「補強」と「育成」は本来どちらか一方を選ぶものではないということです。

外国人選手を獲得することも、トレードを行うことも、優勝を目指す球団であれば当然の選択肢です。

実際、毎年優勝争いをしている球団も、外国人補強を積極的に行っています。

つまり、「補強をしている=育成を諦めている」という関係ではありません。

補強は今シーズン勝つための戦略。

育成は数年後の戦力を作るための戦略。

目的そのものが違うのです。

だからこそ、両方を同時に進めることが本来の編成と言えるでしょう。

若手は着実に育ち始めている

「育成ができていない」と言われることもありますが、現在のDeNAを見ると、若手の台頭は確実に進んでいます。

松尾汐恩は正捕手候補として一軍で存在感を示し始めました。

度会隆輝も規定打席に到達し、主力野手として期待される存在になっています。

さらに勝又温史は野手転向後に大きく成長し、一軍でも結果を残し始めました。

投手では石田裕太郎、篠木健太郎、深沢鳳介など、まだ課題はあれど今後ローテーションを担う可能性のある若手も次々に現れています。

もちろん、まだ全員が主力として定着したわけではありません。

それでも、「若手がいない」という状況ではなく、「世代交代が始まっている途中」と考える方が実態に近いのではないでしょうか。

本当に振り返るべきなのは数年前のドラフト

現在の編成を考える上で、私が重要だと思うのは近年の補強ではありません。

むしろ数年前のドラフト戦略です。

一時期のDeNAは、高校生を上位で積極的に指名する方針を取っていました。

もちろん高校生ドラフト自体が悪いわけではありません。松尾汐恩はその一環で獲得した選手ですし、高卒で活躍している選手もいます。

しかし、その世代から期待通りに主力へ成長した選手が多くなかったことは、現在の戦力構成にも影響しています。

その結果、20代中盤の主力層がやや薄くなりました。

だからこそ近年は大学生・社会人を中心としたドラフトへ回帰し、即戦力を増やしながら世代構成を立て直そうとしているように見えます。

現在の補強は、過去の編成を修正する流れの中にあると考える方が自然でしょう。

山本祐大のトレードは何を意味していたのか

今季、特に議論になったのが、山本祐大のトレードです。

正捕手を放出したという事実だけを見ると、疑問を持つ人がいるのも理解できます。

しかし、編成は「失った戦力」だけで評価するものではありません。

もし山本が残っていたとしたら、松尾汐恩の出場機会はどうなっていたでしょうか。

捕手は同時に2人をスタメン起用できるポジションではありません。

松尾が現在1番手捕手として開花してきていることを考えると、どこかで思い切った決断が必要だったとも考えられます。

さらに、このトレードでは尾形崇斗と井上朋也という将来性ある選手も獲得しました。

彼らは山本祐大ほどの実績はありませんが、ここまでの状態を見てると尾形は速球派先発、井上は右のスラッガーといった形で将来チームの主力になりそうな期待感が持てる内容です。

トレードとは、一人の選手だけを切り取って評価するものではなく、チーム全体の戦力バランスまで含めて考える必要があります。

編成は一年では評価できない

編成には、それぞれ異なる時間軸があります。

外国人補強は今年勝つため。

ドラフトは数年後の主力を育てるため。

育成はさらに長い時間をかけて成果が現れるものです。

それぞれ目的も、結果が出るまでの期間も違います。

だからこそ、「今年は補強が多かった」という一点だけで、「育成を軽視している」と結論付けるのは少し早計ではないでしょうか。

現在のDeNAは、補強だけに頼っているチームでも、育成だけに振り切ったチームでもありません。

過去のドラフト戦略を修正しながら、若手の台頭と補強を両立させようとしている、まさに過渡期にあるチームです。

だからこそ編成を評価する時は、目の前の一年だけではなく、その前後を含めた長い時間軸で見ていくことが重要だと私は考えています。

ここまでは「補強と育成は対立するものではない」という視点から、現在のDeNAの編成を考えてきました。

では、この先のDeNAはどのようなチーム作りを進めていくべきなのでしょうか。

以降のパートでは、

- なぜ大学・社会人中心のドラフトへ回帰したのか

- 今後補強すべきポジションと育成すべきポジション

- 2027〜2029年を見据えた理想の世代構成

- 松尾・度会・勝又ら若手をどう主力へ育てていくべきか

について、私なりの編成プランを詳しく考えてみたいと思います。

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