なぜ放出した?だけでは見えない──戦力流出から考える編成の難しさ

他球団で活躍する元DeNA選手を見るたびに、「なぜ放出した」という声は上がります。ですが、編成は結果だけで評価できるほど単純ではありません。今回は戦力流出を通して、球団が抱える難しい判断について考えてみます。
ハマノンタン 2026.07.30
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他球団へ移籍した選手が活躍すると、「なぜ放出したんだ」という声が必ず上がります。

確かに応援していた選手が他球団で才能を開花させる姿を見るのは、ファンとして複雑な気持ちになるものです。

しかし、移籍後の結果だけで編成を評価するのは、本当に正しいのでしょうか。

今回は、戦力流出という視点から、編成の難しさについて考えてみます。

移籍後の活躍はファンにとって最も悔しい

他球団へ戦力が流出することを、ファンは特に嫌う傾向があります。

DeNAで言えば、細川成也は期待されながらもなかなか一軍に定着できず、現役ドラフトで中日へ移籍しました。しかし移籍後は主軸打者として才能を開花させ、今では中日の中心選手となっています。

福山博之もDeNAではわずか2年で戦力外となり、その際には野手転向を打診されました。しかし本人は投手にこだわって退団し、楽天ではリリーフとして大ブレーク。4年連続60試合以上登板という球界屈指のセットアッパーへと成長しました。

さらに藤田一也も、DeNAから楽天へトレード移籍するとセカンドのレギュラーに定着し、ゴールデングラブ賞を3度受賞しています。

こうした例を見ると、「なぜDeNAで開花できなかったのか」「残しておけば良かった」と思ってしまうのは、ごく自然な感情でしょう。

できることなら、移籍する前に才能を開花させ、DeNAでレギュラーになってほしかったというのが、多くのファンの本音だと思います。

しかし、その見極めは想像以上に難しい

ただ、その判断は私たちが思っている以上に難しいものです。

チームには伸び悩んでいる選手が数多くいて、まだ成長する可能性を残しています。

その中から「誰が数年後に開花するのか」「誰がこのまま伸び悩むのか」を正確に見極めることは、現場で毎日選手を見ている首脳陣や編成担当者であっても簡単ではありません。

球団もトレードや戦力外を決断する際には、

「本当にこの選手はもう伸びないのか」

「環境を変えずに開花させる方法はないのか」

そうしたことを何度も議論した上で、最終的な決断を下しているはずです。

当然ながら、その判断には必ずリスクが伴います。

現場でさえ難しい判断なのですから、試合でしか選手を見ることのできないファンが正確に見極めることは、ほぼ不可能と言っていいでしょう。

編成は「能力」だけでは決められない

さらに忘れてはいけないのが、球団は能力だけで判断しているわけではないということです。

支配下登録は70人まで。

一軍登録枠も限られています。

同じポジションに有望株が重なっていたり、年齢構成やドラフト戦略、外国人枠など、さまざまな要素を考慮しながらチームを作らなければなりません。

つまり、

「細川には才能があった」

という事実と、

「当時のDeNAが細川を残すことが最善だった」

という判断は、必ずしも一致するわけではありません。

編成とは、「誰が伸びるか」を当てる仕事ではなく、「限られた枠を誰に使うか」を決断する仕事でもあるのです。

だからこそ、後になって成功した一例だけを見て「放出は失敗だった」と断言するのは簡単ですが、その当時の状況まで含めて評価することが大切だと思います。

環境が変わること自体が才能を引き出すこともある

もう一つ見落とされがちなのが、環境の変化です。

移籍すると、指導者もチームメイトも練習方法も変わります。

起用法も変われば、住む場所や生活環境まで大きく変わります。

その結果、それまで気付かなかった課題や長所が見つかり、一気に才能が開花することは十分にあり得ます。

これは野球だけの話ではありません。

一般企業でも部署異動や転職をきっかけに能力を発揮する人は珍しくありません。

環境が人を変えることは、私たちの身近でも起きていることなのです。

選手にとって移籍はリスクでもありますが、一方で眠っていた才能を引き出す大きなチャンスにもなります。

DeNAも「他球団で伸び悩んだ選手」を開花させている

一方で、流出ばかりに目を向ける必要もありません。

DeNA自身も、他球団で伸び悩んでいた選手を獲得し、戦力化してきました。

トレードで加入したエドウィン・エスコバー。

人的補償で加入した平良拳太郎。

そして戦力外から獲得した岩田将貴。

彼らはいずれも移籍前は決して目立つ存在ではありませんでしたが、DeNAで自己最高とも言える活躍を見せています。

細川のような主軸打者ほどのインパクトはないかもしれません。

それでも、「他球団では伸び悩んでいた選手をDeNAが開花させた」という事例も確かに存在するのです。

移籍による成功は、決して「出て行った選手」だけの話ではありません。

ここまで、移籍後に活躍した選手を結果論だけで評価してはいけない理由について考えてきました。

では、この考え方を現在のDeNAに当てはめるとどうなるのでしょうか。

実際、今の2軍にも将来の判断が非常に難しい選手たちがいます。

この中で残留させるべきと思いつつも、伸び悩みが続くなら止むなく放出を検討しなければならない選手もいるでしょう。

以降のパートでは今のDeNAで伸び悩んでる選手に焦点を当てて、考察した内容になっています。

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