「若手を使え」では解決しない──ベテラン守備固めが1軍に必要な理由
チームが得点できずに負ける試合が続くと、必ずと言っていいほど出てくる意見があります。
「守備固めの選手を落として打てる選手を上げろ」
「若手をもっと使うべきだ」
確かに打線が機能しない状況では、打撃力のある選手を増やしたくなる気持ちは理解できます。
しかし実際のプロ野球では、守備固め要員が1軍に存在することには明確な理由があります。
また、その役割を若手ではなくベテランが担うことにも合理性があります。
今回は守備固めの必要性と、得点力不足の時に本当に見直すべきポイントについて考えてみます。
ファンが見ているのは「負けている試合」
打線が点を取れずに負けが続くと、ファンの視線はどうしても攻撃面へ向きます。
その結果、「打てないなら打てる選手を増やせ」という考えになりやすくなります。
特に守備固めの選手は、リードしている終盤に出場することが多く、ビハインドゲームでは出番がほとんどありません。
負け試合が続くと、「この選手は全然試合に出ていない」という印象になりがちです。
しかし首脳陣は負け試合だけでなく、勝ち試合をどう確実に拾うかも考えています。
シーズンは143試合あります。
勝てる試合を落とさないことも、優勝争いには欠かせない要素なのです。
1軍ベンチは「保険」の集合体
守備固めの本質は保険です。
試合終盤に1点を守り切るため、
外野守備を強化する
二遊間の守備力を上げる
代走からそのまま守備に入れる
といった役割を担います。
例えば7回終了時に1点リードしている状況。
その時に守備力の低い選手をそのまま残すか、守備固めを投入するかで勝敗が変わることもあります。
1軍ベンチは「逆転するための戦力」だけではありません。
「逃げ切るための戦力」も必要なのです。
若手を守備固めにするのは育成上非効率
ここでよく出る意見があります。
「その役割を若手にやらせればいいのではないか」というものです。
しかし若手にとって最も重要なのは実戦経験です。
打席に立ち、守備機会をこなし、試合の流れを経験することで成長していきます。
ところが守備固め要員になると、出場機会は極端に限られます。
試合によっては出番がなく、出ても守備のみの1〜2イニングだけということも珍しくありません。
それなら2軍で毎日スタメンで試合に出場した方が成長につながるケースが多いでしょう。
なぜベテランが起用されるのか
守備固め要員にベテランが多い理由もここにあります。
ベテランは自分の役割を理解しています。
守備固め
代走
緊急時のバックアップ
こうした限定的な役割でも受け入れやすい傾向があります。
また経験豊富なため、数少ない出番でも安定したプレーを期待できます。
若手が週に数回しか出場できない環境で成長機会を失うよりも、ベテランがその役割を担い、若手は2軍で試合経験を積む。
チーム全体で考えれば合理的な選択と言えるでしょう。
ここまでは、なぜ守備固め要員が必要なのか、そして若手ではなくベテランがその役割を担う理由について整理してきました。
ただ、これだけでは「では得点できなくて負けている時はどうすればいいのか」という疑問が残ります。
確かに守備固めは必要です。
ただし、得点力が無いのに守備固めが必要な状態は健全ではありません。
重要なのは守備固めをただ減らそうとするのではなく、攻守両面で最適化されたチーム作りをどうするかです。
ここからは、
得点力不足の時に本当に見直すべき選手とは誰か
なぜ控え選手の入れ替えは「役割」で考えるべきなのか
DeNAが抱える編成上の課題とは何か
本当に強いチームが目指すべき選手構成とは何か
について、もう一歩踏み込んで考えてみたいと思います。