長らく育たなかった高卒先発投手──DeNA育成は転換点を迎えたのか

深沢鳳介の1軍での活躍、武田陸玖や金渕光希の成長。
長年課題だった高卒先発投手育成に、ようやく変化の兆しが見え始めました。
その背景にあるDeNAの育成環境と、今後の編成への影響を考えます。
ハマノンタン 2026.07.27
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今季、深沢鳳介が1軍でプロ初勝利を挙げ、さらに7/18の試合では完封勝利まで達成しました。

2軍では高卒3年目の武田陸玖が先発で好投を続け、7月21日には高卒2年目・育成投手の金渕光希が完封勝利を挙げています。

これらはあくまで局所的な成果であり、まだチームの戦力に大きく影響を及ぼすほどになってはいません。

しかし私は、この流れにこれまでとは違うものを感じています。

それは、長年DeNAの課題だった「高卒先発投手育成」が、ようやく形になり始めているのではないかということです。

長らく結果が出なかった高卒先発投手育成

DeNAはこれまで、大学・社会人出身選手が1軍のローテやレギュラーに定着するケースが多く、高卒は指名しても1軍で結果を残せるまで育つことが少ない状態でした。

とりわけ先発投手の育成は難しく、ここ20年ほどを振り返っても、高卒で入団して長期間1軍ローテーションに定着した投手は、ほとんど出てきませんでした。

その結果、チームは大学・社会人投手や外国人投手に頼らざるを得ず、「高卒投手が育たない」という印象を持つファンも多かったと思います。

もちろん、高卒投手の育成はどの球団にとっても簡単ではありません。

だからこそ、長年結果が出ていなかったことはDeNAにとって一つの課題でもありました。

深沢鳳介が示した一つの答え

その中で、今季大きな一歩を踏み出したのが深沢鳳介です。

プロ初勝利を挙げただけでなく、完封勝利まで経験しました。

若手投手にとっては1軍で一度勝つだけでも簡単ではありません。

さらに試合の最初から最後まで投げ抜き、相手打線に得点を許さなかったことは、深沢が単なる将来有望な投手ではなく、すでに1軍で結果を出せる段階まで成長したことを示しています。

もちろん、完封勝利を一度挙げたからといって、すぐにローテーション定着が約束されるわけではありません。

実際、登板後には再び登録を抹消されました。

これは今後の日程や登板間隔を考え、当初から一度抹消する想定だった可能性もあります。

少なくとも現時点では、毎週1軍で投げるローテーション投手として起用されている段階ではありません。

それでも、長らく高卒先発投手が育ち切らなかったDeNAにとって、深沢が1軍で明確な結果を残した意味は大きいと思いますし、これを機に今後また1軍で投げる可能性は高くなりました。

武田陸玖と金渕光希も続いている

今年期待できるのは、深沢一人だけではないことです。

2軍では高卒3年目の武田陸玖が先発と救援を経験しながら、先発登板でも好投を続けています。

武田は投手としてだけでなく野手としての可能性も注目されてきた選手ですが、現在は投手として、先発と救援の両方を経験しながら着実に実戦経験を積んでいます。

高卒投手の育成では、一度の好投よりも、一定の間隔で先発登板を続けることが重要です。

登板後の回復、試合に向けた準備、長いイニングを投げる体力、打者との複数回の対戦。

先発ローテーションに入ることで、実戦を通じて多くのことを学べます。

武田の場合、現時点では先発と救援のどちらに軸足を置くのか、まだ明確には定まっていないように見えます。

しかし先発登板時に継続して結果を残せれば、今後先発投手に絞って2軍でローテを任されるようになってくるでしょう。

さらに7月21日には、高卒2年目の育成投手・金渕光希が完封勝利を挙げました。

まだ育成契約の段階であり2軍での実績も少ないため、現時点での1軍昇格は考えにくいですが、それでも、高卒2年目で試合を最後まで投げ抜き、無失点に抑えたことは大きな成果です。

今後は2軍で先発登板の機会を増やし、一定の登板間隔でローテーションを回れるかが次の注目点になります。

そこで継続して結果を残せれば、支配下登録が見えてきます。

「一人の成功」から「育成の流れ」へ

有望な若手投手が一人出てくるだけなら、その選手個人の能力や努力による部分が大きいと考えることもできます。

しかし、複数の高卒投手が同じ時期に成長しているのであれば、球団の育成体制にも目を向ける必要があります。

深沢、武田、金渕は、それぞれ入団年度も現在地も異なります。

深沢は1軍で結果を残し始めた段階。

武田は2軍で先発としての土台を作っている段階。

金渕は育成契約から支配下登録を目指している段階です。

異なる段階にいる投手が、それぞれ前進している。

この状況は、特定の一人だけが偶然育ったのではなく、球団内に若手投手を育てる流れが生まれ始めている可能性を示しています。

深沢鳳介が1軍で結果を残し、武田陸玖と金渕光希も、それぞれの段階で前進しています。

もちろん、3人の成長には本人たちの能力と努力が大きく関係しています。

しかし、異なる世代の投手が同じ時期に結果を残し始めているのであれば、それを個人の才能だけで説明することはできません。

DeNAはここ数年、フロント主導で育成環境を整え、監督やコーチだけでなく、アナリストやトレーナーなども含めた体制で選手を育ててきました。

そして現在、その変化は3人の高卒投手だけでなく、ファーム投手陣全体の成績にも表れ始めています。

データと現場の感覚を、球団はどのように育成へ落とし込んできたのでしょうか。

また、高卒先発投手を継続的に育てられるようになれば、DeNAのドラフトや外国人補強はどのように変わるのでしょうか。

ここからは、個々の選手の成長からもう一段視野を広げ、DeNAの育成体制と今後の編成に与える影響について考えていきます。

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