抱き合わせでは終わらなかった──井上朋也が2軍で示している想像以上の価値
山本祐大とのトレードでDeNAに加入した井上朋也。
当初は先発補強のために獲得した尾形崇斗が主役で、井上は「釣り合いを取るために野手が一人付いてきた」という程度の見方をするファンも少なくありませんでした。
しかし、ここまでの井上は、その印象を覆す活躍を見せています。
一方で、これだけ結果を残しているにもかかわらず、いまだ1軍昇格はありません。
その理由は成績ではなく、現在のDeNAが抱える「編成上の事情」にあると私は考えています。
尾形だけではなかったトレードの収穫
山本祐大とのトレードが発表された時、多くの注目は尾形崇斗に集まりました。
当時のDeNAは先発投手不足が大きな課題となっており、尾形はその穴を埋める存在として期待されていたからです。
実際、尾形は1軍でローテーションに入り、先発陣の一角として存在感を示しています。
一方で井上は、「伸び悩んでる若手野手」という扱いで、どちらかと言えば付随的な存在として見られていました。
しかし、その井上も加入後に着実な結果を積み重ねています。
打撃だけなら1軍級の数字
7月12日終了時点で、井上はイースタン・リーグで打率.349、3本塁打、OPS1.000超を記録しています。
数字だけ見ても十分優秀ですが、さらに注目したいのは安打の内容です。
単打を積み重ねて打率を残しているわけではありません。
安打の半分以上が長打となっており、右のスラッガーとして理想的な打撃内容を見せています。
長打を打ちながら高打率も維持できていることを考えれば、打撃だけで評価するなら、いつ1軍から声が掛かっても不思議ではない成績と言えるでしょう。
打てる一方で課題は守備位置
ではここまで調子が良いのに、1軍昇格できていない理由は何なのか。
それは井上の守備位置にあります。
DeNAに移籍してから2軍で守備に就いていますが、ここまで一塁、左翼、右翼となっています。
三塁守備はまだ1度もありません。
井上朋也について、ドラフト時の印象を持ってる人だとおそらく「三塁を守れる選手」と思われてるのではないでしょうか。
しかしソフトバンク時代の起用を見ると、当初は三塁を中心に守っていましたが、失策数が多くそれがなかなか改善されないこともあって、年々三塁の守備機会は減っていってました。
代わりに一塁や外野の両翼を守る機会が増えていき、現在はもう「三塁を守れる選手」とは言いづらくなっています。
DeNAとしても三塁の動きは確認したと思いますが、それで現在三塁起用が1度も無いことを考えると、一塁と外野両翼の選手として育成していると考えられます。
昇格できない理由は「守備」ではなく「編成」
ただ、三塁を守れないから上がれないと断定するわけではありません。
私は、守備力そのものよりも、守れるポジションとチーム事情が大きく影響していると考えています。
井上が今季2軍で守っている一塁、左翼、右翼は現在のDeNAで打撃を期待されている選手が数多くいます。
一塁には佐野恵太、筒香嘉智
両翼には勝又温史、度会隆輝、エンカーナシオン
このように現在1軍で打って結果を残している有力な選手が並んでいます。
もちろん全員が常に好調というわけではありません。
それでも、実績やチーム内での役割を考えれば、井上がすぐに彼らを押しのけてスタメンを勝ち取る状況にはなっていません。
つまり、井上は「打てないから上がれない」のではなく、「打てる選手が既に多いポジションを守っている」ことが昇格を難しくしているのです。
求められるもう一段階の成長
ここまで書いてきた通り、井上朋也は打撃力は文句なしの状態になってきましたが、守備位置の関係で1軍昇格させづらい立場になっています。
こうなると「じゃあ井上朋也は幾ら打っても上がれないのか?」と思う方もいるかもしれませんが、そう考えるのは早計でしょう。
井上が1軍へ定着するためには、単に打撃成績を伸ばすだけではなく、「このポジションなら起用したい」と首脳陣に思わせる武器を身につけることが重要になってきます。
ここから先は
- 井上はどのポジションで育成すべきか
- DeNA首脳陣が井上を1軍へ昇格させるタイミングはいつになるのか
これらについて、現在のチーム編成も踏まえながら詳しく考察していきます。