打てない控えをなぜ一軍に残すのか──「守備固め」がいるからスタメン競争ができる

打撃成績だけを見れば、なぜ一軍に残っているのか不思議に映る選手もいます。
しかし、一軍は「能力の高い選手を順番に並べる場所」ではありません。
守備固めという役割から考えると、打てない控えを残す理由だけでなく、スタメン候補を競争させるために必要なベンチの構造も見えてきます。
ハマノンタン 2026.08.26
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シーズン中、選手の一軍登録・抹消が発表されるたびに、ファンの間では似たような疑問が繰り返し出てきます。

「なぜ〇〇を抹消して、△△を残すのか」

〇〇は打撃で期待できる選手。一方の△△は打席数も少なく、打率も高くない。

数字だけを並べれば、

「〇〇の方が戦力になるのではないか」

と感じるのも自然でしょう。

今季だけでも、こうした意見を何度見たか分からないほどです。

ただ、一軍の選手登録を考える時には、ひとつ忘れてはいけないことがあります。

一軍は、能力の高い選手から順番に28人を並べる場所ではありません。

スタメンとして打ってもらう選手もいれば、代打を任される選手、代走を任される選手、複数ポジションを守る選手、そして終盤の守備固めを任される選手もいます。

それぞれ違う仕事を持った選手を組み合わせて、一つのチームを作っています。

この視点に立つと、

「〇〇を抹消して、なぜ△△を残すのか」

という一見不思議な判断も、少し違って見えてきます。

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そもそも〇〇と△△は競争相手なのか

まず考えたいのは、〇〇と△△が本当に同じ一軍枠を争っているのか、ということです。

例えば〇〇には、

「一軍ではスタメンとして出場し、打撃で結果を残してほしい」

という期待があるとします。

しかし現在は打撃状態が落ちている。

一軍に置いたままベンチから時々代打で使うよりも、二軍で毎日4打席、5打席と立たせた方が状態を戻しやすい。

そう考えて二軍に落とすことは十分にあります。

一方、△△に求められている仕事が、

「終盤に守備固めとして出場すること」

だったらどうでしょうか。

△△はそもそも、一軍で毎日打席に立つことを期待されているわけではありません。

リードした試合の終盤に守備へ入り、失点の可能性を少しでも下げる。

それが仕事です。

つまり、

〇〇は打ってもらう必要があるから二軍で調整する。

△△は打撃以外に一軍で明確な仕事があるから残る。

ということになります。

打撃成績だけを比較して、

「〇〇の方が△△より打てるのに」

と考えてしまうと、この違いが見えにくくなります。

守備固めを抹消しても、「守備固め」という仕事は消えない

もう一つ重要なのが、△△を一軍から外したところで、終盤の守備固めという仕事そのものがなくなるわけではないことです。

例えば△△を抹消し、代わりに□□という打撃の期待できる選手を昇格させたとします。

それでもリードした試合の終盤になれば、守備を固めたい場面はやってきます。

では誰が守るのでしょうか。

結局、□□や別の控え選手にその仕事を担当させることになります。

すると今度は、

「□□をなぜスタメンで使わないのか」

という疑問が出てくるかもしれません。

しかし首脳陣からすれば、

「守備固めとして一軍に置いているから」

という話になります。

つまり、問題は選手の名前ではありません。

一軍ベンチには、スタメン以外の役割を担当する選手がどうしても必要になる。

誰かを外せば、その役割を別の誰かが担当するだけです。

「もっと流動的に使えばいい」は本当に戦力最大化なのか

こうした話をすると、

「絶対的なレギュラーは少ないのだから、もっとスタメンを流動的にして全員に出場機会を与えればいい」

という意見も出てきます。

もちろん、スタメン争いまで固定する必要はありません。

突出したレギュラーがいないポジションなら、状態や対戦相手によって選手を入れ替えるのは当然でしょう。

ただし、

スタメンを流動的にすることと、選手の役割まで流動的にすることは別です。

例えば4人の選手を全員、

今日はスタメン。

明日は代打。

次の日は守備固め。

その翌日はベンチ。

という形で使ったとします。

一見すると、全員に平等にチャンスを与えているようにも見えます。

しかし、それで本当に戦力を最大化できるでしょうか。

打撃を伸ばしたい若手が、一軍ベンチで週に数打席しか立てない。

守備に不安のある選手が、リードした試合の終盤に守備固めとして出なければならない。

調子を大きく落としている選手も、一軍にいるからという理由で時々スタメン起用され続ける。

こうなれば、むしろそれぞれの選手の長所を生かしにくくなります。

全員にいろいろな仕事をさせることが、必ずしも戦力の最大化になるわけではありません。

では、守備固め専門の選手を一軍に置くことで、チーム全体には具体的にどんなメリットが生まれるのでしょうか。

実はその存在は、終盤の守備を安定させるだけではありません。スタメン候補をより純粋に競争させるためにも、重要な役割を果たしています。

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