戦力外=終わりではない──変わりつつあるプロ野球の「戦力外」の意味
8月に入ると、ドラフト候補や来季の補強について語られる機会が少しずつ増えてきます。
その一方で、避けては通れないのが「戦力外」というテーマです。
まだ本格的な戦力外通告の時期ではありませんが、今のうちにその意味を整理しておくことで、秋に発表される一人ひとりの戦力外通告を、より多角的な視点で見ることができるはずです。
今回は、「戦力外=終わり」という従来のイメージが、現在のプロ野球でどのように変わってきているのかを考えてみます。
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昔の戦力外は「引退」に近いものだった
一昔前まで、NPBで戦力外通告を受けることは、現役生活の終わりを意味することが少なくありませんでした。
もちろん他球団へ移籍する選手もいましたが、その枠は限られており、多くの選手はそのままユニフォームを脱ぐことになります。
そのため、「戦力外=プロとして通用しなかった」というイメージが強く、多くのファンもそう受け止めていました。
育成制度が「戦力外」の意味を変えた
しかし現在は、プロ野球を取り巻く環境が大きく変わっています。
その大きな要因が育成制度です。
現在は多くの球団が育成選手を数十人規模で抱え、球団全体では100人近い選手を保有する時代になりました。
一方で支配下登録できる選手は70人までというルールは変わりません。
つまり球団は毎年、ドラフトや補強、新たな育成選手を受け入れるために枠を空ける必要があります。
能力だけではなく、年齢構成やポジションのバランス、チーム事情など、様々な理由で戦力外になる選手が以前より増えているのです。
一方で能力がある選手を簡単に手放したくないという思いから、育成再契約を打診するケースが大幅に増えました。
戦力外という制度そのものの役割も、以前とは少し変わってきたと言えるでしょう。
野球を続ける道は大きく広がった
さらに、選手たちの選択肢は昔より大幅に増えました。
他球団への移籍だけではありません。
育成契約、独立リーグ、社会人野球、海外リーグなど、現役を続けられる環境が数多く存在しています。
一度NPBを離れても、そこで結果を残せば再びNPBへ戻るチャンスもあります。
つまり現在は、戦力外通告を受けても「野球人生が終わる」とは限らない時代なのです。
流動性が高まった現代のプロ野球
この変化によって、プロ野球全体の流動性も高まりました。
球団は限られた支配下枠を有効活用しながら、新たな戦力を獲得できます。
一方で、出場機会を求める選手は、自分に合った環境へ移ることができます。
以前であれば埋もれてしまっていた才能が、環境を変えることで花開くケースも珍しくありません。
戦力外は「終わり」ではなく、「新しい挑戦への入り口」と考えられるようになってきたのです。
では実際に、環境を変えることで新たな成功をつかんだ選手には、どのような例があるのでしょうか。
ここからは、私が特に印象に残っている細山田武史と久保康友という元DeNA選手のNPBを離れた後の話を紹介しながら、「戦力外後の野球人生」について考えてみます。