打っている若手をなぜ上げない?──井上絢登・井上朋也・高見澤郁魅に足りない「一軍での使い道」

ファームで結果を残しているのに、なぜ一軍へ上がれないのか。井上絢登、井上朋也、高見澤郁魅の現在地を、打撃成績だけでは見えない「守備位置」と「一軍での使い道」から考えます。
ハマノンタン 2026.08.21
サポートメンバー限定

DeNAのファームには、打撃面で結果を残しながら、なかなか一軍で出場機会を得られていない若手選手がいます。

井上絢登、井上朋也、高見澤郁魅もその中に入るでしょう。

3人とも打撃には魅力があり、ファームで結果を残しているだけに、

「これだけ打っているなら一軍で使ってみてもいいのではないか」

と考えるファンも少なくないはずです。

しかし、一軍昇格を考えるうえでは、ファームでどれだけ打っているかだけでは判断できません。

現在の3人には、共通して大きな問題があります。

それが「どこを守るのか」です。

特に三塁を安定して守れないことによって、一軍での起用方法がかなり限定されています。

では、ファームでもっと三塁を守らせればいいのでしょうか。

実は、この問題はそれほど単純ではありません。

※無料読者登録すると、DeNAの戦力分析・ドラフト・球団運営などの新着記事をメールで受け取れます。

打っているのに一軍へ上がれない若手たち

ファームで打撃成績を残している若手がいれば、一軍昇格を期待するのは当然です。

特に一軍打線が苦しんでいる時期には、

「二軍で打っている選手をもっと試してほしい」

という声も出やすくなります。

ただ、一軍のベンチ入り人数には限りがあります。

選手を一人昇格させるなら、誰かを一人抹消しなければなりません。

そして昇格させた選手を、実際にどこで使うのかまで考える必要があります。

井上絢登、井上朋也、高見澤はいずれも打撃を評価されている選手ですが、現状では一塁や左翼など、比較的打撃力を求められるポジションでの起用が中心になっています。

ここに一軍昇格の難しさがあります。

一塁・左翼にはすでに一軍の主力がいる

DeNAの一軍を見れば、一塁や左翼を守れる選手はすでに多くいます。

佐野恵太、筒香嘉智、度会隆輝、勝又温史など、打撃面で一軍戦力となっている選手が揃っています。

場合によっては牧秀悟の一塁や、エンカーナシオンの左翼起用もできるため、想像以上に厳しい競争枠になっています。

もちろん、それぞれ守れるポジションや役割は異なります。

ただ、「打撃を期待して一塁や左翼で起用する」という枠だけを考えれば、競争相手はかなり多いと言えるでしょう。

そのため、ファームで好成績を残していても、

「一軍で誰に代えて使うのか」

という問題が生まれます。

例えば、一塁と左翼しか守れない若手を昇格させても、スタメンで使わないのであればベンチに置く意味は限られます。

代打要員として考えるにしても、すでに一軍で実績のある打者との競争になります。

つまり、打撃専に近い選手ほど、

ファームで打つだけではなく、一軍でも既存戦力を押しのけるほど打てるか

が求められてしまいます。

若手にとってはかなり高いハードルです。

「三塁をもっと練習させればいい」では済まない

そこで考えたくなるのが、

「三塁を守れるようにすればいい」

という方法です。

三塁を守れるのであれば、一軍での起用幅はかなり広がります。

宮﨑・筒香の後釜候補となれますし、今でも宮﨑や筒香の休養日にスタメンで使うこともできますし、試合途中の選手交代にも対応しやすくなります。

ただ、井上絢登や高見澤については、これまでファームで三塁を守る機会そのものがなかったわけではありません。

井上絢登は過去に三塁で多くの試合に出場してきましたが、失策が多く、安定して任せられるところまでは至りませんでした。

高見澤も三塁での実戦経験を積んできていますが、まだ失策数が多く1軍のサードを任せられるほどにはなっていません。

井上朋也もソフトバンク時代から三塁を守っていましたが、安定していたとは言い難く徐々に出場を減らしていました。

つまり、

「今まで守らせてこなかったから守れない」

わけではありません。

球団側も実戦の中で三塁守備を経験させ、そのうえで現在の起用方法に至っています。

この点は、一軍昇格を考えるうえで重要です。

今季の起用を見ると3人の育成方針は違っている

さらに興味深いのが、今季のファームでの守備起用です。

井上絢登は今季、DeNAでは三塁を守っていません。

井上朋也もDeNA加入後、三塁での起用はありません。

一方、高見澤は試合数こそ多くないものの、今季も三塁を守っています。7月末に支配下登録された後も、8月に入ってから三塁で出場する試合があります。

この違いを見ると、球団が3人をまったく同じように育成しているわけではないことが分かります。

少なくとも現状では、井上絢登と井上朋也は三塁手としての起用構想から少しずつ外れつつあり、高見澤については三塁手としての可能性もまだ模索している段階なのかもしれません。

もちろん、数試合の起用だけで球団の育成方針を断定することはできません。

ただ、現在の守備位置には、それぞれの選手について球団が考えている将来像がある程度表れている可能性があります。

小田康一郎は守備を改善して起用の幅を広げた

その点で比較したいのが小田康一郎です。

小田もプロ入り当初から三塁守備が安定していたわけではありません。

ファームでは序盤に失策が目立ち、守備面を不安視される時期もありました。

しかし、実戦経験を積む中で徐々に安定感が増し、現在は三塁でも以前ほど不安なく起用できるようになっています。

さらに一塁や二塁でも起用されており、複数のポジションを経験しています。

ここに井上絢登、井上朋也、高見澤との大きな違いがあります。

小田の場合、

「打てるから一軍候補になる」

だけではありません。

守備力を一定水準まで引き上げたことで、

「三塁で使える」

「一塁でも使える」

「場合によっては二塁でも使える」

という選択肢を増やしています。

一軍の控え選手として考えるなら、この差は非常に大きいでしょう。

一軍では、毎日スタメンで出場する選手だけが必要なわけではありません。

宮﨑を休ませたい日。

相手投手との相性によって打線を変えたい日。

試合終盤に代打を送った後、守備位置を入れ替えたい場面。

そうした時に複数のポジションを守れる選手は使いやすくなります。

守備力そのものだけではなく、守れる場所が増えることが、一軍での出番を増やすことにもつながります。

なので現状では井上絢登、井上朋也、高見澤郁魅らよりも小田康一郎の方が一軍昇格しやすい立場になっていると言えるでしょう。

では、井上絢登、井上朋也、高見澤郁魅は、今後どのような形で一軍を目指していけばいいのでしょうか。

興味深いのは、今季のファームでの守備起用を見ると、3人がすでに同じ育てられ方をしているわけではないことです。

三塁で起用されなくなった井上絢登と井上朋也。一方、支配下登録後も三塁での出場機会を与えられている高見澤。

ここから先は、球団が3人にどのような将来像を描いているのか、そしてそれぞれが一軍への最後の壁をどう越えていけばいいのかを考えていきます。

  • 井上絢登が鍛えるべき守備位置

  • 井上朋也が発揮すべき持ち味

  • 高見澤郁魅が進むべき道

  • ファームで打つこと以外に必要な心構え

この記事はサポートメンバー限定です

続きは、1885文字あります。

下記からメールアドレスを入力し、サポートメンバー登録することで読むことができます

登録する

すでに登録された方はこちら

サポートメンバー限定
井上朋也は宮﨑敏郎の後釜になれるか──突然始まった『サード起用』を考え...
サポートメンバー限定
打てない控えをなぜ一軍に残すのか──「守備固め」がいるからスタメン競争...
サポートメンバー限定
現場は結局「エラーの少なさ」を見ている?──守備指標が進化しても変わら...
サポートメンバー限定
DeNAが織田翔希を1位指名するなら──入団交渉で示すべき「MLBまで...
サポートメンバー限定
戦力外=終わりではない──変わりつつあるプロ野球の「戦力外」の意味
サポートメンバー限定
レイノルズとエンカーナシオンは残せるか──DeNAが来季考える「外国人...
サポートメンバー限定
DeNAは高卒投手を1位指名すべきか──小園健太、松本隆之介、深沢鳳介...
サポートメンバー限定
尾形崇斗は「右のエース」になれるか──7回2失点以上に大きかった首脳陣...