井上朋也は宮﨑敏郎の後釜になれるか──突然始まった『サード起用』を考える
DeNAのファームで、井上朋也の起用法に小さくない変化が起きています。
8月21日の試合で、井上はDeNA移籍後初めて三塁の守備に就きました。
さらに23日には代打出場後に三塁へ入り、25日には三塁手としてスタメン起用されています。
一度だけなら、試合展開による偶発的な起用だった可能性もあります。
しかし短期間で立て続けに三塁を任されているとなれば、話は少し変わってきます。
井上朋也は、再び「三塁手」として育てられ始めているのではないでしょうか。
これは単なる守備位置の変更にとどまらず、井上自身の一軍昇格、そしてDeNAの今後の三塁手事情にも関わってくる可能性があります。
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DeNA移籍後は2カ月以上三塁を守っていなかった
そもそも、今回の三塁起用が気になるのは、井上が長い間まったく三塁を守っていなかったからです。
5月にソフトバンクからDeNAへ移籍して以降、主に守ってきたのは一塁と左翼、右翼でした。
本職として経験のある三塁には入らず、2カ月以上が経過していました。
そのため筆者も、
「DeNAではもう三塁手として育てないのではないか」
と考えていました。
井上はソフトバンク時代、三塁手として多くの実戦経験を積んできた選手です。
しかし、必ずしも安定していたとは言えません。
シーズンによっては二軍で守備率が.950を下回ることもあり、昨季からは三塁での出場機会そのものが減少。
今季もソフトバンク在籍時の三塁出場はわずかでした。
そうした経緯があり、さらにDeNA移籍後も一塁と外野での起用が続いていたことを考えれば、三塁手としては一区切りつけ、別のポジションで一軍を目指す方針になったと見ても不思議ではありませんでした。
ところが、8月下旬になって状況が変わりました。
突然始まった「三塁再挑戦」
8月21日に移籍後初めて三塁を守ると、23日にも三塁へ。
そして25日にはスタメンから三塁を任されました。
もちろん、まだ数試合だけです。
これだけで「今後は三塁手として育成する」と断定することはできません。
ただ、少なくとも今回の起用から分かるのは、DeNAが井上朋也の三塁という選択肢を完全に捨ててはいなかったということでしょう。
2カ月以上公式戦で守っていなかったポジションに、いきなり何の準備もなく戻すとは考えにくいところがあります。
試合で三塁に入っていない期間にも、練習などを通じて三塁守備に取り組んでいた可能性があります。
そして、ある程度実戦で試せる段階になったからこそ、8月下旬から少しずつ三塁での出場機会を与えている。
もしそうだとすれば、今回の起用はかなり興味深いものです。
井上朋也に足りなかったのは「打力」ではない
井上について考えるうえで重要なのは、打撃面では、一軍で試してみたいと思わせる結果を残してきました。
それでも一軍昇格にはなかなかつながりませんでした。
その理由のひとつとして考えられるのが、「どこで使うのか」という問題です。
一塁には打撃力を求められる選手が集まります。左翼、右翼も同様です。
守備位置が一塁と外野両翼に限られてしまえば、井上が一軍へ昇格するには、そこで起用されている選手以上の打撃を期待されることになります。
さらに控えとして考えても、複数の守備位置を高い水準でこなせるほどの評価を得ていたわけではありません。
つまり井上の場合、
「二軍で打っているのだから昇格させればいい」
というほど単純な問題ではありませんでした。
打撃ではなく、一軍での使い道をどう作るか。
そこが大きな課題だったのではないでしょうか。
では、井上朋也が三塁を守れるようになることで、一軍での立場はどこまで変わるのでしょうか。
そこには単なる昇格争いだけではなく、DeNAがいずれ向き合わなければならない「宮﨑敏郎の後継者」という問題も関わってきます。
突然始まった三塁起用から、井上の今後とDeNAの三塁手事情をもう少し掘り下げて考えてみます。