DeNA先発陣、気づけば5人がキャリアハイ──苦境で生まれた成長と次なる競争
今季のDeNAは、先発投手陣に苦しんできました。
開幕前に思い描いていたローテーションは早々に崩れ、シーズンを通して先発投手をやり繰りしながら戦うことになりました。
チームの先発防御率やQS率を見ても、決して順調なシーズンだったとは言えません。
しかし、そんな今季の先発陣を改めて眺めていて、ひとつ気付いたことがあります。
現在ローテーションを支えている石田裕太郎、平良拳太郎、篠木健太郎、尾形崇斗、深沢鳳介。
この5人が、いずれも今季すでに一軍での年間自己最多投球回に到達しているのです。
9月3日時点で投球回を比較すると、以下のようになります。
投 手 | 過去最多| 2026年
石田裕太郎| 90回2/3| 102回2/3
平良拳太郎| 83回1/3| 90回1/3
篠木健太郎| 5回1/3| 71回2/3
尾形 崇斗| 34回2/3| 80回※
深沢 鳳介| 登板なし| 42回2/3
※尾形はソフトバンクで12回、DeNA移籍後68回の合計。
こうして並べてみると、今季のDeNAは東克樹以外の先発について、かなりの部分を「これまで以上の投球回を投げている投手たち」によって支えられていることが分かります。
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想定外から始まった先発ローテーション
そもそも開幕前から、この5人が揃ってこれだけ多くのイニングを投げることを想定していたわけではなかったでしょう。
大きかったのが、外国人先発の誤算です。
新加入したデュプランティエ、コックスには、ともにローテーションの一角としての期待がありました。
ところがコックスは左肘、デュプランティエは右肘を手術。
コックスは6月1日、デュプランティエも7月10日にウェーバー公示手続きが行われ、シーズン途中でチームを離れることになりました。
先発として計算していた外国人投手を、相次いで欠くことになったのです。
さらに、それ以外にも開幕前にローテーション候補として期待されていた投手たちが、なかなか継続して結果を残すことができませんでした。
結果として先発には次々と空きが生まれ、そのチャンスが石田、平良、篠木、そして途中加入した尾形や復帰した深沢へと回ってきました。
そういう意味では、この5人がこれだけ投げている背景に、「他の投手が投げられなかったから」という事情があることも確かでしょう。
しかし、ここで忘れてはいけないことがあります。
チャンスが回ってくることと、そのチャンスを何カ月にもわたって掴み続けることは、全く別です。
「空いていたから投げた」だけではキャリアハイには届かない
例えば石田裕太郎は、昨季までの自己最多だった90回2/3を超え、今季はすでに自身初となる100イニングを突破しています。
一軍で先発として戦力になれることを示すだけでなく、年間を通してローテーションの一角を担えるところまで投球回を伸ばしました。
平良拳太郎も、これまで最も多く投げた2020年の83回1/3を6年ぶりに更新しました。
これまで故障とも付き合ってきた平良が、30歳を超えて自己最多投球回を更新していることには、大きな意味があります。
篠木健太郎はさらに大きな飛躍です。
ルーキーだった昨季の一軍登板はわずか5回1/3。
それが2年目の今季は13試合に登板し、71回2/3まで投球回を伸ばしました。
もはや「一軍で投げられるか」を試される段階ではなく、先発としてどこまでローテーションを守れるかという段階へ進みつつあります。
途中加入の尾形崇斗もそうです。
昨季まではリリーフとして投げており、一軍での年間最多投球回は34回2/3でした。
しかし今季はソフトバンクで12回を投げた後、DeNA移籍後に先発へ回って68回。
シーズン合計では80回となり、これまでの自己最多を倍以上に伸ばしています。
そしてトミー・ジョン手術から復帰した深沢鳳介は、今季が一軍デビュー。
プロ初勝利だけでなく完封勝利まで記録し、すでに42回2/3を投げています。
もちろん、5人ともシーズンを通して順風満帆だったわけではありません。
好投を続けた時期もあれば、打ち込まれた試合もありました。
現在もなお、それぞれに課題があります。
それでも一度の不調でローテーションから消えることなく、調整しながら再びマウンドに上がり、投球回を積み重ねてきた。
だからこそ、「先発が足りなかったからキャリアハイになった」だけではなく、「空いたローテーションを簡単には手放さなかったから、キャリアハイまで到達できた」と評価したいところです。
ここまで見てきたように、今季のDeNA先発陣は苦しい状況の中でも、5人の投手がそれぞれキャリアハイの投球回まで到達しました。
これは間違いなく、今季のチームに残った大きな収穫です。
ただし、「5人がこれだけ投げられた」という事実だけで、来季の先発ローテーションまで安泰になったわけではありません。
実際、チーム全体の先発成績を見ると、まだ大きな課題も残されています。
ここからは、5人それぞれのキャリアハイが何を意味するのか、そして来季どのような競争が待っているのかを考えていきます。