「右打者を1位で獲らなかった」と酷評されたDeNAドラフト──しかし宮下朝陽という右の“大当たり”を引いたか

「右打者を1位で獲らなかった」と批判された昨季のDeNAドラフト。しかし今、その3位指名だった宮下朝陽が、一軍で打って守れるショートとして存在感を示しています。
ハマノンタン 2026.09.05
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昨年10月のドラフト会議が終わった直後、DeNAの指名について一部のファンから聞かれたのが、

「なぜ右打者を1位で獲らなかったのか」

という声でした。

DeNAは1巡目で佐々木麟太郎を指名したものの抽選で外れ、外れ1位では青山学院大の小田康一郎を指名。

小田も右投左打ですから、結果としてDeNAはドラフト1位で右打者を獲得しませんでした。実際の指名は1位・小田、2位・島田舜也、そして3位が東洋大の宮下朝陽でした。

当時のDeNA打線を考えれば、その指摘自体には理解できる部分もありました。

牧秀悟や宮﨑敏郎など右の主力はいるものの、その次を担う若い右打者は決して多くありません。

一方、2025年のドラフトには創価大・立石正広、法政大・松下歩叶といった右打ちの大学生内野手がおり、実際に両者ともドラフト1位で指名されていました。

だからこそ、

「右の強打者が必要なら、なぜ1位で立石や松下に行かなかったのか」

という見方が出てくるのも不思議ではありませんでした。

しかし、ドラフトから約10か月が経過した現在。

その評価は、一度見直してみてもいいのかもしれません。

なぜならDeNAには今、昨季ドラフト組の右打者の中でも屈指の一軍成績を残している選手がいるからです。

それが、ドラフト3位の宮下朝陽です。

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すでに一軍で7本塁打を放っているドラフト3位

宮下は9月1日時点で一軍61試合に出場。

198打席に立ち、

  • 打率.249 7本塁打 22打点

  • 出塁率.294 長打率.400 OPS.694

という成績を残しています。

ルーキー、それもドラフト3位の大卒内野手が一年目から約200打席に立ち、7本塁打を放っていると考えれば、十分すぎるほどのスタートと言えるでしょう。

そして興味深いのが、ドラフト前に宮下以上の評価を受けていた右打者たちとの比較です。

阪神ドラフト1位の立石は9月1日時点で32試合113打席、打率.198、2本塁打、出塁率.212、長打率.270、OPS.483。

ヤクルトドラフト1位の松下は8月31日時点で24試合69打席、打率.212、1本塁打、出塁率.246、長打率.303、OPS.549。

もちろん、これだけをもって

「宮下は立石や松下より上の選手だ」

と結論づけるのは早すぎます。

プロ野球選手の評価は一年どころか数年単位で変わりますし、一年目に苦しんだからといって将来の成長まで否定されるものではありません。

それでも、少なくともルーキーイヤーの一軍で最も結果を残している右の大学生野手の一人が宮下であることは間違いありません。

ドラフト順位だけを見れば1位ではなく3位。

しかし現在の一軍での働きを見れば、その順位を感じさせない活躍を見せています。

しかも宮下の価値は「右打者」だけではない

さらに宮下の場合、打撃だけを見て評価するのも不十分です。

現在、一軍では主にショートを任されています。

8月31日時点で遊撃手として51試合に出場し、73刺殺、123補殺、失策はわずか3。

守備率は.985となっています。

これは他球団のレギュラーショートと比べても遜色なく安定しています。

ショートは当然ながら、内野の中でも守備負担が大きいポジションです。

そこでルーキーが一軍の試合に出続けながら、大きく守備を崩していない。

これだけでもかなり価値があります。

仮に宮下が一塁や左翼を中心に守る選手で、現在の打撃成績だったとしたら、評価は多少変わっていたでしょう。

しかし、右打ちで、ある程度長打があり、なおかつショートを守れる。

この条件を同時に満たす若手選手となると、かなり希少です。

DeNAが昨年のドラフトで欲しかったものを「若い右打者」という一点だけで考えるなら、1位でそれを獲得しなかったのは事実です。

しかし実際には、3位でその条件を満たし、それ以上の付加価値まで持つ選手を獲得できていました。

「右打者を獲らなかった」のではなく、3位で獲っていた

ここが昨季ドラフトを今振り返るうえで、一番面白いところではないでしょうか。

ドラフト直後はどうしても1位指名に注目が集まります。

「誰を1位で獲ったのか」

「補強ポイントに合っているのか」

という観点からドラフト全体まで評価されがちです。

ただ、球団にとって重要なのは、必ずしもドラフト1位だけで補強ポイントを埋めることではありません。

ドラフト全体を使って、必要な選手を獲得できればいい。

昨年のDeNAでいえば、1位では左打者の小田を獲得しました。

しかし3位には右打ちの宮下がいました。

しかも宮下は、一年目から一軍で7本塁打を放ち、ショートまで守っています。

結果だけを見れば、

「右打者を1位で獲らなかった」のではなく、「1位を使わずに3位で一軍戦力になる右打者を獲得できた」とも言えるわけです。

これはドラフト戦略を評価するときに、とても重要な視点だと思います。

ここまで見てきたように、宮下は単に「右打者として一軍で結果を残している」だけではありません。

長打力があり、ショートを守れ、しかもルーキーイヤーから一軍戦力になっている。

では、もしこの活躍がドラフト前から分かっていたとしたら、宮下は本当に3位まで残っていたのでしょうか。

ここからは少し視点を広げて、宮下の現在地から昨季ドラフトを振り返りながら、DeNAの指名が結果としてどれほど大きな価値を生みつつあるのかを考えていきます。

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