23試合連続安打から月間打率.157へ──勝又温史はいま「本当のレギュラー」への壁にいる
6月から7月にかけて、勝又温史は一気にDeNA打線に欠かせない存在となりました。
6月9日からは23試合連続安打を記録。球団記録にも迫るほどの長い連続安打で、一躍注目を集めました。
月間成績を見ても、6月は打率.300、7月は.305。
6月にはプロ初本塁打も飛び出し、7月には満塁本塁打を放つなど、単に安打を重ねるだけではなく長打でも存在感を示していました。
ところが、8月に入ると状況が一変します。
22試合で打率.157 1本 1打点、出塁率.232 長打率.216 OPS.448。
6月、7月と2か月続けて3割を超えていた打率が一気に落ち込み、スタメンを外れる試合も増えていきました。
あれだけ打っていた勝又に、何が起きたのでしょうか。
筆者は、この8月の不振こそ、勝又が「本当の一軍レギュラー」になるために初めてぶつかった壁なのではないかと考えています。
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三振ばかりが増えたわけではない
まず、8月の数字を少し細かく見てみます。
勝又の三振数は以下の通りでした。
6月 60打数9三振
7月 95打数16三振
8月 51打数10三振
8月はやや三振の割合が少し高くなっていますが、「突然ボールに全く当たらなくなった」というほど大きな変化ではありません。
それよりも気になるのが、長打の減少です。
6月、7月はそれぞれ長打が4本、5本と多いとは言えないまでもコンスタントに出ていました。しかし8月の長打は本塁打の1本のみで、二塁打や三塁打は0本です。
つまり、単純に「バットに当たらなくなった」というより、バットに当てても、以前ほど強い打球を生み出せなくなった。
こちらの変化を考えた方がいいのかもしれません。
もちろん、外から見ているだけで「フォームのここが崩れた」と断定することはできません。
それでも、好調だった時期と比べて打球の強さや打撃のキレが失われ、その結果として長打も安打も減っていった可能性は考えられます。
一軍で打ち続ければ、当然「研究される」
ここで忘れてはいけないのが、勝又にとって今季が実質的な一軍1年目だということです。
勝又はもともと投手としてプロ入りし、その後野手へ転向しました。
そして2025年までの一軍経験は、わずか7試合9打席。
ところが今季は8月31日時点ですでに97試合、339打席に立っています。
これだけ長期間、一軍で打席に立ち続けること自体が初めての経験なのです。
当然、23試合連続安打を記録するほど打っていれば、相手チームも勝又を研究します。
どのコースを得意としているのか。
どんな球種に強いのか。
逆に、どういう攻め方をすれば打ち取りやすいのか。
打席数が増えれば増えるほど、データも蓄積されていきます。
そして相手が攻め方を変えてくれば、打者側もそれに対応しなければなりません。
その対応を繰り返していく中で、少しずつ打撃のバランスが変わってしまうこともあるでしょう。
もちろん、「相手が勝又のフォームを崩した」とまで断定することはできません。
ただ、一軍で結果を出した打者が対策され、その対策へ対応しようとする中で新たな課題が生まれる。
これはレギュラーを目指す打者なら、いずれ経験することです。
ここまで見てきたように、勝又の8月の不振は、単純に「急に打てなくなった」というだけではなさそうです。
むしろ難しいのは、結果を出している最中に生じた小さなズレを、どのタイミングで修正するのかということ。
特に勝又のように、初めて一軍でレギュラーをつかもうとしている選手にとっては、「今日も結果を出したい」という思いと「打撃を修正したい」という判断を両立させるのは簡単ではありません。
ここからは、なぜ好調な選手ほどフォームを直しにくいのか。そして勝又が本当のレギュラーになるために、これから何を乗り越える必要があるのかを考えていきます。