深沢鳳介の4戦4勝は偶然ではない──DeNAに現れた新たな先発ローテ候補
トミー・ジョン手術と長いリハビリを乗り越えた深沢鳳介が、いまDeNAの先発ローテーションに食い込もうとしています。
内容も伴った4連勝から、その成長と次に越えるべき壁を考えます。
DeNAの深沢鳳介が、一軍の先発ローテーションに食い込もうとしています。
8月13日の試合では6回3安打1失点の好投。先発としてしっかり試合を作り、勝利投手となりました。
これで深沢は、7月5日のヤクルト戦でプロ初勝利を挙げてから4戦4勝。
プロ初勝利から4戦連続で白星を挙げるのは、外国人投手を除けば2016年の今永昇太以来、球団史上2人目となる記録です。
ただ、今回注目したいのは「4勝」という数字だけではありません。
ここまでの登板内容を見ると、この4連勝は決して打線の援護や運だけによって生まれたものではないことが分かります。
深沢自身が、自分の投球で掴み取ってきた4勝と言っていいでしょう。
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4試合すべて1失点以下
深沢がプロ初勝利を挙げた7月5日以降の成績を振り返ってみます。
7月5日 5回無失点
7月18日 9回無失点・完封勝利
8月2日 5回1/3 1失点
8月13日 6回1失点
4試合すべてで1失点以下。合計すると25回1/3を投げて、わずか2失点です。
先発投手の勝敗は、本人の投球だけで決まるものではありません。
どれだけ好投しても打線が点を取れなければ勝利投手にはなれませんし、逆に多少失点しても大量援護があれば白星がつくこともあります。
そのため「4戦4勝」という数字だけを見て、すべて深沢の力だと評価するのは少し危険でしょう。
しかし深沢の場合は、その4試合すべてで先発投手として十分すぎるほどの仕事をしています。
これだけ安定した投球を続けているのであれば、今回の4連勝は「勝ち運に恵まれた」と片付けるべきものではありません。
深沢自身が試合を作り続けた結果として、4つの勝利がついてきた。
そう評価する方が自然ではないでしょうか。
多彩な変化球と制球力
深沢の最大の特徴は、力で打者を圧倒するタイプではないことです。
多彩な変化球を操りながら、それぞれを丁寧にコースへ投げ分けていきます。
ストレート一本で押し込むのではなく、球種やコースを使い分けながら打者の狙いを外していく。
いわゆる「技巧派」と呼ばれるタイプの投手です。
そして深沢の投球を見ていて印象的なのが、調子の良い時のテンポの良さです。
コントロールが安定しているため大きくカウントを悪くする場面が少なく、打者との勝負をスムーズに進めることができます。
球数を無駄に増やさず、淡々とアウトを積み重ねていく。
こうした投球スタイルは、同じDeNAでは東克樹に近い部分もあるように感じます。
もちろん現時点で、深沢を東と同じレベルの投手として扱うべきではありません。
ただ、圧倒的な球速だけに頼るのではなく、複数の球種と制球力を使って打者を打ち取っていくという点では、参考にできる部分の多い先輩でしょう。
ようやく一軍で姿を見せ始めた高卒右腕
深沢は2021年ドラフト5位でDeNAに入団しました。
高卒投手として将来を期待されてきましたが、ここまで決して順調なプロ生活だったわけではありません。
大きかったのがトミー・ジョン手術です。
手術だけでなく、その後には長いリハビリ期間も必要となりました。
若手投手にとって、本来であれば実戦経験を積みながら成長していきたい時期です。
しかし深沢は、その時間の多くを復帰のために使わなければなりませんでした。
そのためプロ5年目となった今季まで、一軍で十分な登板機会を得ることはできませんでした。
それでも、ようやく一軍のマウンドに上がれる状態まで戻り、そこで結果を残し始めています。
特に完封勝利を含む4戦4勝という結果は、長いリハビリ期間を乗り越えてきた深沢にとって、大きな自信になるのではないでしょうか。
「期待の若手投手」という段階から、「一軍で勝てる投手」へ。
今まさに、その評価が変わり始めています。
ここまでの投球を見れば、深沢が一軍でも十分に通用する力を持っていることは証明しつつあると言っていいでしょう。
では、このままDeNAの先発ローテーションに定着していくことができるのでしょうか。
実は、ここまでの4勝には一つ共通している点があります。
深沢がさらに一段上の先発投手になるためには、次に越えなければならない壁があります。