ミスの後に何ができるか──8/14のDeNAと森敬斗が見せた「取り返す力」
大切なのは、その失敗をどう受け止め、次のプレーでどう取り返すか。
8/14のDeNAの敗戦と森敬斗のプレーから、「失敗しない強さ」ではなく「取り返す強さ」について考えます。
8/14の試合は、DeNAファンにとって尾を引きやすい厳しい結果でした。
立ち上がりはDeNAの平良とヤクルトの奥川による投げ合いとなり、1点を先制されたものの5回までは接戦が続きました。
ところが6回、二つの内野安打をきっかけに状況が一変します。
ヤクルトにディレードスチールを決められ、そこから2点タイムリー。
相川亮二監督は平良から松本凌人へ継投しましたが、松本凌も2者連続四球で満塁とし、最後は満塁本塁打を浴びました。
わずかなきっかけから少しずつ歯車が狂い、最後には大量失点へとつながった6回。
こういう試合を見ると、どうしても考えてしまいます。
「あの時、こうしていれば……」と。
いくらでも見つけられる「あの時こうしていれば」
この試合を振り返れば、「あの時こうしていれば」と考えられる場面はいくらでもあります。
二つの内野安打がアウトになっていれば
牧がもう少し早く打球を処理できていれば
戸柱がディレードスチールをもっと警戒していれば
平良がタイムリーを打たれなければ
松本凌が四球を出さなければ
満塁弾を被弾した球が、もう少し厳しいコースに入っていれば
そもそも奥川恭伸に打線が抑え込まれなければ
大量失点する前にDeNA打線が得点できていれば
どこか一つだけ違っていれば、試合展開そのものが変わっていた可能性があります。
特に敗戦後は、
「牧の守備が悪かった」
「戸柱の判断が悪かった」
「平良が崩れた」
「松本が試合を壊した」
「継投が悪かった」
と、失点に直接関わった誰かに原因を求めたくなるものです。
しかし、野球の敗戦は一つのプレーだけで生まれるわけではありません。
今回も平良は5回まで1失点に抑えていました。
その間にDeNA打線が奥川から3点、4点と取っていれば、6回に同じことが起きても試合への影響は違ったでしょう。
もちろん、だからといって「打線が悪かった」と言いたいわけではありません。
奥川も好投していました。相手もプロなのですから、思い通りにいかないことは当然あります。
守備のミスもある。
投手の失投もある。
打者が仕留められないこともある。
相手の好プレーもある。
そして時には、誰にも責任を求めにくい不運もあります。
そうした様々な要素が積み重なって、一つの試合の結果が生まれます。
だから「あのプレーさえなければ負けなかった」と、一つだけを切り取るのは難しいのではないでしょうか。
どんな選手でもミスはする
もちろん、一つ一つのプレーを振り返り、改善することは必要です。
しかし、それと「ミスをしてはいけない」という話は別です。
エラーを一度もしない野手はいません。
失投を一球もしない投手もいません。
チャンスですべて打つ打者もいません。
采配がすべて成功する監督もいません。
長いシーズンを戦えば、どんな選手にも失敗する日はあります。
さらに野球には、自分たちでは完全にコントロールできないこともあります。
平良が6回に許した二つの内野安打も、強烈な長打を連発されたわけではありません。
打球の飛んだ場所や跳ね方が少し違えば、アウトになっていた可能性もあります。
そもそも、これを「ミス」と呼ぶことすら難しいでしょう。
野球には、誰かに明確な責任がなくても悪い方向へ試合が転がっていく瞬間があります。
だから私は、強いチームとは「ミスをしないチーム」ではないと思っています。
大切なのはミスの後
重要なのは、ミスをゼロにすることではなく、その後に取り返すこと。悪い流れを連鎖させないこと。
なのではないでしょうか。
野手がエラーをしても、投手が後続を抑えれば失点にはなりません。
投手が失点しても、打線が取り返すことができます。
チャンスで凡退した打者が、次の打席で決勝打を放つこともあります。
守備でミスした選手が、打撃で取り返すことだってあります。
実はこの日のDeNAには、その答えを示すような選手がいました。
初回のミスを引きずらず、後の打席で自ら取り返した森敬斗です。
ここからは、森のプレーと悪夢の6回を振り返りながら、「取り返す力」についてもう少し考えてみます。
森敬斗が見せた「取り返す力」
この日センターでスタメン出場した森は、初回にいきなりミスをしてしまいました。
センターからの送球が大きく逸れ、送球エラー。
それが結果的にヤクルトの先制点につながる一つの要因となりました。
試合開始直後のミスです。
しかも1軍初のセンターでの守備。
そのまま引きずってしまってもおかしくありません。
しかし森は、そこで終わりませんでした。
大きくリードされた7回。
一、二塁の場面で打席が回ってくると、フェンス直撃の好打を放ち、2点タイムリーとしました。
守備で失ったものを、今度は打撃で取り返したのです。
もちろん、その一打で初回のエラーそのものが消えるわけではありません。
試合展開を考えれば、それだけで勝敗をひっくり返せる状況でもありませんでした。
それでも、この一打には大きな意味があったと思います。
ミスをした後でも、次のプレーでチームに貢献することはできる。
自分が失敗したからといって、その日のすべてが失敗になるわけではない。
森の2点タイムリーは、この試合をただ「悪夢の展開」だけで終わらせなかった貴重な好例だったのではないでしょうか。
森敬斗は、初回のミスをその後の打撃で取り返しました。
では逆に、あの悪夢の6回はなぜ大量失点にまでつながってしまったのでしょうか。
振り返ってみると、実は一気に試合が壊れたわけではありません。途中には何度も、悪い流れを止めるチャンスがありました。
ここからは6回の展開を改めて振り返りながら、「ミスを連鎖させないこと」と「取り返す力」について、もう少し深く考えてみます。