DeNAは2026年ドラフトで野手をどこまで獲るべきか──「右打者」「外野手」にこだわりすぎない補強戦略
ドラフトが近づくと、毎年のように各球団の「補強ポイント」が話題になります。
DeNAの野手の補強ついて今年よく挙げられそうなのは、
「右打者が欲しい」
「外野手を獲るべき」
「将来の捕手も必要」
といった点でしょう。
確かに、どれも間違った話ではありません。
現在のDeNAは左打ちの野手が多く、右打者を増やしたいという考えは理解できます。
外野にも新たな競争相手は欲しいですし、捕手も松尾汐恩がいるからといって補強不要というわけではありません。
ただ、
「右打者が足りないから右打者を上位で獲る」
「外野手が欲しいから外野手を2位や3位で獲る」
と、補強ポイントと指名順位をそのまま結びつけていいのでしょうか。
筆者は、今年についてはもう少し柔軟に考えていいと思っています。
現在の若手野手の状況、その年のドラフト市場、さらに2027年以降まで考えるなら、今年1回のドラフトですべての補強ポイントを埋める必要はありません。
※無料読者登録すると、DeNAの戦力分析・ドラフト・球団運営などの新着記事をメールで受け取れます。
昨年も「右打者が足りない」と言われていた
この話を考えるうえで振り返りたいのが、昨年のドラフトです。
DeNAが上位で左打者を指名したことで、ドラフト直後には一部から、
「なぜ右打者を1位で獲らなかったのか」
という声が聞かれました。
当時のチーム編成だけを見れば、そう考えたくなるのも分かります。
DeNAには左打ちの野手が多く、将来的な中軸候補という意味でも右打者は欲しい状況でした。
ところが、その後に獲得した宮下朝陽がルーキーイヤーから一軍で存在感を見せています。
しかも宮下は右打者で、ショートを守ることができます。
昨年ドラフト直後に不足していると言われた「右打者」「内野手」という要素を、1位ではない宮下が埋め始めました。
ここにはドラフトを考えるうえで重要なヒントがあります。
補強ポイントがあることと、そのポジションや属性の選手を上位で獲らなければならないことは、同じではありません。
宮下の台頭でショート補強の緊急度は変わった
ここ数年、DeNAのドラフトでは将来のショート候補がたびたび補強ポイントとして挙げられてきました。
球団も複数の若手内野手を獲得し、競争させています。
その中で今季、宮下が出てきた意味は大きいでしょう。
もちろんルーキーイヤーの活躍だけで、「今後10年間のショートは宮下で決まり」と考えるのは早すぎます。
今後壁にぶつかる可能性もありますし、競争相手も必要です。
それでも少なくとも、「今年のドラフト上位でショートを獲らなければ将来が危ない」という状況ではなくなってきました。
今年の候補に上位枠を使ってでも欲しいショートがいるなら指名すればいい。
そうでなければ、中下位で将来型の高校生を獲る、あるいは来年以降に回すという選択もできます。
宮下の台頭によって、DeNAはショートというポジションだけを理由に上位指名を急ぐ必要がなくなってきたと言えます。
捕手は必要でも、上位指名が必要とは限らない
捕手も同じように考えられます。
捕手は一軍だけでなくファームでも一定の人数が必要で、故障が重なれば一気に層が薄くなる特殊なポジションです。
したがって、「松尾汐恩がいるから捕手はいらない」という話にはなりません。
一方で、DeNAにはすでに若くして一軍で起用されている松尾がいます。
球団として中心に育てたい捕手がいる以上、松尾と近い年代の捕手に上位枠を使う必要性がどこまで高いのかは考える必要があります。
捕手の補充そのものは必要。
しかし、それを必ず上位で行う必要があるとは限らない。
ここは分けて考えたいところです。
「右打ち外野手が欲しい」は間違っていない
野手補強でもっとも分かりやすいポイントは、右打ち外野手でしょう。
これは筆者も欲しいと思います。
DeNAには左打ちの野手が多く、打線全体のバランスを考えれば右打者は増やしたい。
さらにセンターまで守れる右打ち外野手がいれば、編成上かなり魅力的です。
ただ、現在の外野には度会隆輝、勝又温史、梶原昂希らがおり、若い選手がまったくいないわけではありません。
だから重要なのは、
「右打ち外野手だから上位で獲る」
ではなく、
「上位の枠を使ってでも獲りたい選手が、たまたま右打ち外野手である」
という順番ではないでしょうか。
補強ポイントには当てはまっていても、評価以上に順位を繰り上げてまで指名する必要はありません。
今年は投手市場の良さを活かしてもいい
そして2026年ドラフトを考えるうえで重要なのが、市場全体のバランスです。
今年の市場では、特に大学生を中心に投手が充実しているという見方をする人が多いです。
筆者も以前の記事で、「DeNAは即戦力投手だけにこだわる必要はない」と書きました。
今季は篠木健太郎、尾形崇斗、深沢鳳介、平良拳太郎らを使いながら先発を回してきました。
そのため、「来年すぐ一軍で投げられる投手」だけを基準にドラフトを考える必要はないと思っています。
ただ、それと今年投手を多く獲ることは矛盾しません。
むしろ投手市場が充実しているのであれば、
即戦力として期待できる大学生投手。
まだ伸びしろを残している大学生投手。
将来的に先発の柱になれる可能性を持った高校生投手。
球威や身体能力に魅力のある素材型投手。
こうした選手を複数獲るチャンスでもあります。
「先発が足りないから即戦力投手を獲る」のではなく、今年の市場に魅力的な投手が多いから、結果として投手中心のドラフトになる。
この考え方なら自然です。
では、今年のDeNAは野手の補強ポイントをどこまでドラフトで埋めるべきなのでしょうか。
ここからは、今年1回のドラフトだけではなく、来年以降の編成まで含めて考えていきます。
そして最後に、「それでも2026年ドラフトで獲っておきたい野手」はどんなタイプなのか。
右打者、外野手、捕手、ショートといったポジション論から一歩進めて、今年のDeNAに必要な野手補強の形を整理してみます。